コラム

頭の後ろが痛い 後頭部頭痛の原因とリスク

local_offerコラム
local_offer頭痛

こんにちは。
横浜市青葉区の脳神経外科・脳神経内科、横濱もえぎ野クリニックです。

本日は後頭部痛で考えられる原因やリスクについて書きます。
頭の後ろが痛いという方はぜひお読みください。

後頭部の頭痛/後頭部痛で考えられる主な原因

1.くも膜下出血

脳動脈瘤が破裂して起こる病気です。急に激烈な頭痛に襲われるという特徴的な症状がありますす。命の危険がある病気なので、直ちに病院を受診するか救急車を呼んでください。尚、前兆症状は首の痛みが挙げられます。

2.椎骨動脈解離
首を通る血管の膜が裂けたり、剥がれてしまう病気です。動脈瘤(血管のこぶ)を形成したり、脳梗塞(血管の詰まり)、くも膜下出血(血管の破裂)を引き起こす原因となります。

3.緊張型頭痛
最も多いタイプの頭痛です。全頭痛のうち7割が緊張型頭痛です。ぎゅーと締め付けられるような症状で、肩や首の疲労感、ストレートネックなどが原因です。

4.偏頭痛
片頭痛とも書きます。脈が波打つようにズキンズキンと痛みます。痛む箇所はこめかみが一番多く見られます。

5.後頭神経痛
頭皮に起こる神経痛です。ジンジン、ジリジリと局所的に痛みます。痛み自体は強めですが、あくまで表面の刺激なので、脳疾患とは別の分類です。

6.帯状疱疹
強い局所的な痛みと共に赤い斑点や水膨れができます。昨今増えている病気であり、実際に痛む場所を視認して確認することが大切です。

この中で椎骨動脈解離は一般的な認識と実態に乖離があります。
またそれについて触れている病院様が殆どないです。

椎骨動脈解離は現在でもそれなりの症例数があります。
しかし、その一方で潜在的な症例が相当数あると考られます。
これは椎骨動脈解離の見逃しが多いです。

そこで今回は踏み込んで説明します。
出来るだけわかりやすく書きますので、是非ともお読みください。

ちなみに当院ではここ4か月で5人見つけています。
これは末端のクリニックとしては異常に高い発見率です。
なぜ当院でばかり見つかるのかは、読み進めていただければわかります。

椎骨動脈解離の症状

  • 後頭部の頭痛
  • 強い頭痛
  • 首(うなじ)の痛み
  • 左右どちらかの痛み

椎骨動脈は首の左右に一本ずつあり、解離を起こした側だけが痛むケースが多いです。動脈解離で一番多いのは心臓の近くにある大動脈が解離することです。次に多いのが脳の血管におこる椎骨動脈解離(脳動脈解離)です。よく見られる初期症状はうなじや後頭部の強い痛みです。ほんの軽いケース以外は数日では良くならず、一週間、あるいはそれ以上の期間強い頭痛が続きます。一番起こりやすい年齢は40代から50代ですが、若い方にも起こります。左右片側だけの痛みである事が特徴です。痛みは通常の頭痛よりも強い傾向にあり、解離が続いている間はその痛みが続きます。


原因

椎骨動脈解離は首に過度な負担が掛かった時に起こりやすい病気です。整体やカイロ、美容院でのシャンプーなども引き金になります。また首を激しく動かすスポーツや首に衝撃がくるスポーツ、交通事故によるもの、首をぶつける等でも起こりますいわゆる捻った、捻挫を起こしたという事象と同じく、無理な負荷は解離を引き起こします。意外なスポーツではゴルフでなる方がいらっしゃいます。また本人に自覚がなくても起こるものなので、必ずしも思い当たる節があるとは限りません。

尚、椎骨動脈解離の診断を受けた方は、治るまで首に負担を掛けぬよう注意してください。普段では何ともない負荷でも、傷付いた血管には大きな負荷になります。ひび割れた建物が地震で倒壊しやすいのと同じです。万が一破裂したらくも膜下出血になります。椎骨動脈解離は大きな脳疾患の一歩手前ですので安静を心掛けてください。

 

見逃しが多い理由

椎骨動脈解離は見逃しが非常に多い病気です。その理由は二つあります。

一つ目はレントゲンでは見極められないからです。首の痛みがある場合は整形外科さんに行かれる方が多いと思います。そうなると、通常は骨の異常がないかをレントゲンで確認します。そこで異常がなければ、寝違えで筋を痛めたとか、姿勢の悪さからくるコリや血行不良といった診断が下されます。しかし、これは重要な事を確認しそびれています。それは椎骨動脈解離の疑いです。この病気を見つけるためには血管の撮影ができる検査が必要です。その為MRIでの検査が必要です。

ここで二つ目の理由が出てきます。椎骨動脈解離はただMRI受けるだけでは見つかりません。つまり、後頭部の頭痛で脳神経外科を受診した場合でも見逃しは起こるのです。その理由は頭痛の撮影工程に首の血管撮影が含まれていないクリニックが大半を占めるからです。鑑別する為には以下の条件を満たす必要があります。

  1. 医師が椎骨動脈解離の疑いがあると判断する
  2. MRA撮影と呼ばれる血管の撮影を行う(医師が指示する)
  3. MRAは脳だけでなく首も撮る

当院では後頭部の痛みを訴える患者様には、慎重に確認するようにしています。BB法と呼ばれる撮影技法を併用して撮るケースもあります。血管MRAではっきりとわかる症例なら良いのですが、実際には血管MRAのみでは判断が難しい症例もあります。これをBB法を用いて、更に入念に検査することで、より正確な診断を実現しています。BB法は本来血管のプラークなどを調べる為に使う撮影方法です。ですので、椎骨動脈解離の鑑別でも役に立ちます。実際に発見に繋がる為、非常に有効な検査方法であると感じています。

実際の撮影画像



こちらはMRA画像です。青の矢印で指している部分が椎骨動脈です。通常はこの動脈が左と右に1本ずつ存在します。しかし、画像の赤丸部分を見ると、反対側は何かおかしい状態です。このような状態を撮影技師が確認した場合、当院では椎骨動脈解離の疑いを持ち、その確認のため追加の撮影を行います。ですが、ここまではっきりと違和感を認識できる画像が出てきても、椎骨動脈解離の確認を行わない病院が多くあります。医師から椎骨動脈解離の精査をしてと依頼されていなければ、通常通りの工程のみで撮ることが多いのです。これが椎骨動脈解離の見逃しを誘引します。


こちらはBB画像です。断面を画像化する事で出血性の病変をより正確に見つけられます。血流に異常が見られる側の椎骨動脈に出血が見られます。反対側は正常な椎骨動脈のため白い所見は見られません。

見逃しで生まれるリスク

椎骨動脈解離は注意しながら経過を観察することが望ましく、見逃しが起こる事は非常に良くありません。それは椎骨動脈解離が重大脳疾患に繋がるリスクを抱えているからです。椎骨動脈解離のみで済めば頭痛が徐々に治まっていき、解離した部分も自然治癒していきます。しかし、その一方で脳梗塞やくも膜下出血を誘引することがあります。整理すると以下のようになります。

椎骨動脈解離のその後 以下のいずれかとなります

  • 1.自然治癒により回復する
  • 2.血管が詰まり脳梗塞を発症する
  • 3.血管が破れくも膜下出血を発症する

脳梗塞やくも膜下出血は命の危険を伴う病気なので、可能な限りそのリスクを下げるべきです。例えば血管詰まりのリスクが高ければ抗血小板薬を処方することで、脳梗塞のリスクを飛躍的に下げる事ができます。しかし、このような取り組みは椎骨動脈解離を発見できる事が前提です。ですから、どの程度、どのように解離しているかを知る事が大切なのです。現代の医療では軽視されがちな病気ですが、もっとしっかりと精査していくべきなのです。


どこで診てもらえば良いのか

「MRIがあり、椎骨動脈解離の精査をしてくれるクリニックへ行く」が答えです。ですが、この基準で探すことは難しいと思います。どの程度椎骨動脈解離に理解のある医師で、どのようにMRI撮影を行うかは公開情報ではないからです。

MRI撮影には通常この工程で撮るというルーティーンがあるのですが、患者様が訴える症状によって撮影方法を追加したり変更する必要があります。例えば、椎骨動脈解離疑いなら血管MRA、聴神経腫瘍疑いならCISS法というようにです。しかし、現実は柔軟な対応が出来るクリニックばかりではありません。事実、他院でMRIを受けた方が当院へ来て、見逃しが見つかる事はよくあるからです。


実はここ二年程は帯状疱疹の患者様が増えています。局所的な強い痛みが椎骨動脈解離の症状と一致しますが、こちらは実際に患部を見ることで発見できます。帯状疱疹が増えた背景は下記の記事をお読みください。

コロナワクチンと帯状疱疹の関係について

帯状疱疹が増えてからは他のクリニックでは見逃しが頻発していたと思われます。他の病院でMRI上異常なし、原因不明と言われて当院へ来て、患部の目視で発覚という事案が多発したのです。

コロナ禍で患者と触れることを控えた事もあるでしょうが、最大の理由は医師が疑う疾患の選択肢に帯状疱疹がなかったことです。椎骨動脈解離も同じ状況に置かれています。はなから医師の選択肢にないせいで、血管MRA撮影を実施しないという事例が頻繁にあるのです。これでは見つかるものも見つかりません。



話を纏めます。

このような症状がある場合は、椎骨動脈解離の疑いを持ってください。

  • 後頭部の頭痛
  • 強い頭痛
  • 首(うなじ)の痛み
  • 左右どちらかの痛み

 

どこで診てもらえば良いかわからない場合は、当院で検査を承ります。当院は横浜市青葉区にある脳神経外科です。MRIがあります。問診票に椎骨動脈解離疑いと書いてくだされば、しっかりと精査させていただきます。

ちなみに当院では3か月で4人見つかっています。いちクリニックとしては見つかりすぎな数です。これは前述した理由から潜在的かなりの数がおられ、見つかっていないだけという可能性を示唆しています。
椎骨動脈解離は10万人に1~3人と言われていますが、実際にはその何十倍もいる可能性があります。本当にそんなに低い確率なら、末端のクリニックで短期間で4人も見つかるのは不自然です。
※2023.08.26 また見つかりました。ここ4か月で5人目です。今回は両側に起こっており、危険性が高いと判断したので即日大きな病院へのご紹介を行いました。

何故こんなに気にするのかというと、椎骨動脈解離は危険な病気の一歩手前の状態だからです。椎骨動脈解離に気付かずに、普段通りに首に負担を掛けると最悪の場合死に至ります。気付くことで防げる病気なら、もっと周知されるべき、懸念すべき価値があると考えます。

当院へのよくあるご質問

Q.検査や診察にどれぐらい時間が掛かりますか?
総所要時間は平均で2時間、混雑時で3時間程度です。状況により変動はありますので、目安としてお考えください。

Q.いくら掛かりますか?
初診+MRI検査で約8,500円です(3割負担の方の場合)。追加検査がある場合は総額で概ね10,000円~15,000円となります。

Q.貴院が特別高いということはありますか?
ありません。同じ性能のMRI、同じ検査内容なら、どこの病院でも値段は一緒です。

Q.BB法を用いた場合、値段は変わりますか?
変わりません。ご安心ください。

即日MRI検査、結果説明が可能です

「思い立ったらすぐ検査」が可能です

当院ではMRI希望の方は、初診でもご予約を承っております。
そのため、当日のご予約、当日のご来院が可能です。
もし当日枠が埋まっていても、殆どの場合翌日には検査が可能です。
ご来院の際は、事前にお電話にてお問い合わせください。
電話番号:045-482-3800

1回のご来院で全てが終わります

1回のご来院で診察、MRI撮影、結果説明の全てを行います。
大病院でのMRI検査は診察、検査、結果説明と3回通う事も少なくありませんが、当院では何度も通う必要はありません。
※より詳しい所見を必要とする場合、MRI以外の検査を行う場合は例外があります。
※椎骨動脈解離が見つかった場合は再診の指示を出す場合があります。要経過観察に該当する為です。

お役立ちコラム

記事監修

院長 泉山 仁

横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 院長
日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医

35年以上の経験を持つベテラン医師。モットーは真心のある診療。患者様にしっかりと説明を行い、よく理解してもらう事を大切にしている。気さくで親しみやすい診療が評判を呼んでいるが、実力の伴う医師である事も重要だと語る。現在もその経歴に奢ることなく勉学に励み続けている。


横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科
診療日:月~木曜日、土曜日 駐車場あり

〒227-0048 神奈川県横浜市青葉区柿の木台4-7
東急田園都市線藤が丘駅より徒歩8分、青葉台駅より徒歩13分。

当院の特徴を知りたい方はこちらをご覧ください。
当院の口コミが読みたい方はこちらをご覧ください。


初診でMRI希望の方は事前にお電話にてご予約ください。
当日のご予約も可能です。

 
混雑時はお電話に出られない場合があります。
その場合はお手数ですが、数分後に再度お掛け直しください。

電話番号:045-482-3800
TOPへ