椎骨動脈解離外来

椎骨動脈解離とは

脳疾患などによる危険な頭痛・よくある慢性的な頭痛椎骨動脈解離とは首を通る血管の膜が裂けたり、剥がれてしまう病気です。血管が裂けることにより偽腔と呼ばれる、本来の血液の通り道とは違った道ができます。これが重大脳疾患を起こす原因となります。

椎骨動脈解離が起こす重大脳疾患・病気

  1. 脳梗塞=血管の詰まり
  2. くも膜下出血=血管の破裂
  3. 動脈瘤=血管のこぶ


脳梗塞やくも膜下出血を発症すると死に至る可能性があります。つまり、椎骨動脈解離は危険な病気の一歩手前なのです。


椎骨動脈は首の左右に一本ずつあります。逆Yの字状になっていますが、形や血流には個人差が大きく、画像のように綺麗な形とは限りません。

【椎骨動脈解離の症状】
うなじや後頭部の強い痛みがあります。頭痛は強めの痛みで一週間以上続きます。首の痛みは片側だけである事が多いです。通常、解離を起こした部分は自然修復されますが、一部の方は脳梗塞やくも膜下出血を発症します。


左:発症直後 右:半年後

赤丸内に狭まり、膨らみの所見あり

正常に修復されると、減っていた血の流れが回復します。形は完全に戻らない場合もありますが、この方は綺麗に修復されました。


椎骨動脈解離外来とは

脳疾患などによる危険な頭痛・よくある慢性的な頭痛椎骨動脈解離疑いの患者様を対象とする外来です。現在の日本ではこの病気が疑われる状況でも、椎骨動脈解離の精査を行わない病院が沢山あります。

そのせいで困っているのは患者様です。この病気を積極的に調べますと謳う病院が殆どありません。現に「椎骨動脈解離外来」を掲げる医療機関は当院が日本初でしょう。

【当院の診療実績】
当院では椎骨動脈解離疑いの患者様を年間200人以上診ています。これは通常の脳神経外科クリニックとは比べ物にならない程多い数です。

当院へ患者様が集まってくる理由は、この病気の発見に力を入れている事、
そして実際に多数の椎骨動脈解離を見つけている実績があるからです。直近1年間で20人以上の椎骨動脈解離を発見しています。
※椎骨動脈解離起因の脳梗塞、くも膜下出血の発症経験がある方は、当院ではなく経歴を把握されている病院様にお掛かり下さい。後から別の医師・病院が携わると思わぬ弊害を生むことがあるためです。情報不足ゆえに最適解ではない治療に踏み切ってしまったり、手術を行った病院から「もうそちらで診てもらってくれ」と関係を切られてしまうなど。

椎骨動脈解離が危険な理由

当院はこの病気に警鐘を鳴らしています。解離が起こると脳梗塞やくも膜下出血の発症率が飛躍的に上がるからです。つまり、死に至る可能性があるのです。

しかし、病院で椎骨動脈解離が見つかれば、そのリスクを下げることができます。例えば、脳梗塞のリスクがあるタイプの場合は、抗血小板薬や抗凝固薬を飲んでもらう事で脳梗塞の発症率を下げられます。

ですが、これは「椎骨動脈解離を見つける」ことが前提です。残念ながら、見つけてもらえないケースが多発しています。実際に当院で見つかる椎骨動脈解離のうち5、6人に1人は、他院で異常無しと言われた患者様です。

椎骨動脈の拡大撮影画像


この病気に注目したきっかけ

この病気に注目したきっかけは「潜在的な患者様が沢山いる」=見つかっていない人が多いという仮説でした。一般的に後頭部痛の方には #脳梗塞 #脳出血 #くも膜下出血 #脳腫瘍 このあたりを第一候補として検査を行います。

椎骨動脈解離は第一候補から外れている場合が多いのです。これは医師の中で稀な疾患という認識があるためです。椎骨動脈解離の発症率が10万人に1~3人と言われているからです。

頭痛イメージ女性

当院ではこの確率に疑問を持ち積極的に精査を行いました。すると、4か月で5人の椎骨動脈解離が見つかりました。この数は異常です。通常の脳神経系クリニックでは年間で2~4人程度が中央値でしょう。尚、これは当院が警鐘を鳴らす前の段階であり、患者様の層は通常のクリニックと同じ条件でした。

そこで情報を皆様に周知したところ、椎骨動脈解離疑いの患者様が増えました。その結果、1年間で20人以上見つかったのです。「潜在的な患者様が沢山いる」という仮説が事実だったのです。


なぜ見逃しが多発するのか

椎骨動脈解離は発見にくい病気です。その理由は二つあります。

一つはレントゲンでは診断ができないからです。首の痛みがある場合は整形外科に行かれるでしょう。そうなると、通常は骨の異常がないかをレントゲンで確認します。そこで異常がなければ、寝違えで筋を痛めたとか、姿勢の悪さからくるコリや血行不良という診断が出ます。※場合によってはレントゲンがCTになりますが、これも通常通りの撮り方では判断できません。

しかし、これは重要な事を確認していません。それは椎骨動脈解離の疑いです。この病気を見つけるには血管の情報が必要です。その為、MRIでの検査が必要なのです。

MRI


ここで二つ目の理由が出てきます。椎骨動脈解離はただMRIを受けるだけでは見つからないのです。つまり、頭痛で脳神経外科を受診しても見つけてもらえない事があります。その理由は、頭痛撮影の通常工程に椎骨動脈の血管撮影を含まないクリニックが多いからです。

椎骨動脈解離を見つけるには下記の条件を全て満たす必要があります。

  1. 医師が椎骨動脈解離の疑いがあると判断する

  2. MRA撮影と呼ばれる血管撮影を実施する

  3. MRAは脳だけでなく首も撮る必要がある

当院では後頭部の痛みがある患者様を慎重に確認します。BB法と呼ばれる撮影技法を併用して撮るケースもあります。血管MRAでハッキリわかる症例なら良いですが、実際には血管MRA単体では判断が難しい場合があるからです。

BB法チェックの実例

椎骨動脈を断面状に細かく映し、出血している部分がないかをチェックします。赤丸部分が白くなっているのは、出血がある事を示しています。つまり、椎骨動脈解離である事の裏付けになります。


椎骨動脈解離の有病率

男性頭痛当院に椎骨動脈解離疑いで受診された患者様、直近50人を対象にしたところ驚愕の数値が出ました。なんと50人中10人が椎骨動脈解離でした。有病率20%です。

これを普通の医師が聞けば「あり得ない」と仰るでしょう。そんなにいるはずがないと思うからです。確かに当院では通常のクリニックよりも高い数字が出るでしょう。ですが、重要な点はそこではありません。それだけ「潜在的な患者様がいる」という事実です。

この事実に気付いている医師が非常に少ないため、検査過程でスキップされてしまうのです。その結果、発見に至らない患者様が多数現れます。


実際の症例画像


椎骨動脈解離の実例を載せます。画像は全て当院で撮影したものです。学習用途も兼ねて、非椎骨動脈解離の患者様も混ぜます。


◆1人目 椎骨動脈解離の症例

赤丸部分に膨らみを確認できます。


血管の太さを確認するとやはり膨らんでいます。



◆2人目 椎骨動脈解離
ではない症例

片側の椎骨動脈が映っていません。
これだけで椎骨動脈解離と仰る医師がいますが早計です。


血管の太さを確認すると、細いながらも存在が確認できます。
このように血管が細い場合は映らないことがあります。



◆3人目 椎骨動脈解離ではない症例

形状が特殊なタイプです。


このような形ですが、ただの個人差です。


◆4人目 椎骨動脈解離の症例

重なっていて正面からは見分けにくいです。

わかりにくいですが、左側の椎骨動脈の形に懸念があります。

動脈瘤形状(コブのような形)がありました。
このような時に追加撮影できるかが診断の分かれ目です。

 

◆5人目 椎骨動脈解離の症例

出血が確認できます。

矢印箇所からの出血です。

 

◆6人目 椎骨動脈解離の症例

この画像(通常MRA)のみでは判別不能です。
本ケースの判別方法は別記事にて公開予定です。


当院の受診方法

当院は横浜市青葉区にある脳神経外科・脳神経内科クリニックです。田園都市線藤が丘駅から徒歩8分です。

診療時間 日・祝
9:00~13:00 / /
15:00~18:00 / /

地図、駐車場、出勤医師の情報はこちら

 

当院の椎骨動脈解離精査

当院のMRIでは通常のクリニックの約2倍の枚数を撮影し、広く細かく撮ることでより高い精度の高い診断を実現しています。

①.まずは脳やその周辺を撮影します。脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、脳腫瘍といったよく想定される脳疾患を確認します。



②.脳血管だけでなく首の方まで広範囲に撮ります。一般的には血管撮影自体をやらないか、脳だけを血管撮影するクリニックが多いです。

③.疑わしい部分は、該当箇所をさらに細かく撮影します。2枚目はわかりやすいように立体化したものです。


④.これも一般的ではありませんが、首の下部まで撮影しストレートネックやリンパを診ています。


⑤.モニターを用いて、実際の画像をお見せしながらご説明します。「わかりやすい説明」を心掛けていますので、何の知識もない方でもご安心ください。


よくあるご質問

Q.どれぐらい時間が掛かりますか?
患者様の滞在時間は平均で2時間、混雑時で3時間程度です。

Q.いくら掛かりますか?
3割負担の方の場合、初診+MRI検査で約8,500円です。追加検査がある場合は概ね10,000円~15,000円程度です。

Q.1回きりの受診で良いですか?
当院は1度で診察、MRI撮影、結果説明の全てを行う方針です。よって一回きりのご来院で大丈夫です。
※懸念事項があった場合、椎骨動脈解離が見つかった場合は例外です。

Q.椎骨動脈解離の実例はありますか?
こちらをご覧ください。
後頭部痛で病気が見つかった患者様/診療症例11
椎骨動脈解離が心配→椎骨動脈解離でした/診療症例14

お電話にてご予約ください

お電話にて「椎骨動脈解離疑い」とお伝えください。ご予約をお取りします。最短で当日、満枠の場合は翌日以降にご案内します。

 

電話番号:045-482-3800

混雑時はお電話に出られない場合があります。お手数ですが、数分後に再度お掛け直しください。


記事監修

院長 泉山 仁

・横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 院長
・日本脳神経外科学会専門医
・日本脳卒中学会専門医

平成27年 市が尾カリヨン病院 病院長
平成29年 青葉さわい病院 副院長
令和元年 横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 開業

 
 
横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科

田園都市線藤が丘駅より徒歩8分、青葉台駅より徒歩13分
診療:要予約制 診療日:月~木曜日、土曜日

初診でMRI希望の方は事前にお電話にてご予約ください。
当日のご予約も可能です。
 
混雑時はお電話に出られない場合があります。 お手数ですが、数分後にお掛け直しください。

電話番号:045-482-3800


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