脳梗塞について
脳梗塞とは脳の血管が詰まって、その先の血液が運ばれなくなった部分の脳細胞が死滅してしまった状態です。死滅した脳細胞を回復させることはできないため、その部分が担っていた感覚や機能が失われます。最近では前兆症状の時点や、脳梗塞発作を起こして3時間以内であれば、脳へのダメージを最小限に抑えるための治療が可能になっています。ただし、最も有効なのは、発症する前の予防です。リスクがある場合は早めに適切な治療や生活習慣改善を行うことが重要です。
脳梗塞の前兆症状
こうした症状に気付いたらすぐに受診してください。
運動障害
身体の左右どちらか片側に力が入らない、食事中に箸や茶碗を落とす、歩いている時に傾くなど
感覚障害
身体の左右どちらか片側の手などがしびれる、感覚が鈍くなるなど
視覚障害
物が二重に見える、視野(見える範囲)が狭くなるなど
言語障害
言葉がうまく出ない、呂律が回らないなど
バランスの障害
ふらつく、めまいがする、足元がフワフワするなど
原因
脳血管の動脈硬化や、脳血管内に血のかたまりである血栓ができることで発症します。
高血圧・糖尿病・脂質異常症(高脂血症)・高尿酸血症といった生活習慣病や、喫煙習慣、飲酒習慣は、動脈硬化や血栓の危険因子です。
脳梗塞のリスク
病気の危険因子
心臓病
高血圧・糖尿病・脂質異常症(高脂血症)・高尿酸血症などの生活習慣病
上記の生活習慣病を複数持っていると数値自体は悪くなくても脳梗塞を発症しやすくなります。
生活習慣
飲酒習慣、喫煙習慣、肥満、運動不足、
脳梗塞の治療・前兆症状があった場合の治療
薬物療法
抗血小板剤や抗凝固剤を服用します。また、高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)などの生活習慣病を合併している場合は、その疾患の適切な治療が不可欠です。特に複数の疾患を合併している場合は、厳格なコントロールが必要になります。
抗血小板剤
血管の狭窄や詰まりによって脳梗塞が生じます。血管の狭窄は活性化した血小板が血管壁に付着して生じます。血管の詰まりは血管壁に付着した血小板がはがれて血流に運ばれた先で詰まって生じます。抗血小板剤は血小板の凝集を阻害して、狭窄や詰まりを起こさないようにします。
抗凝固剤
心房細動などによって血液が固まることを防ぐために用います。
降圧剤
高すぎる血圧を下げるための薬ですが、動脈硬化抑制や脳卒中再発予防などの効果があることがわかってきています。正常血圧の方に降圧剤を処方したことで脳梗塞の再発を抑制できることも指摘されています。こうしたことから、血圧が正常値に戻ったからと自己判断で降圧剤服用を中止することは危険です。
スタチン系薬剤
脂質異常症の、主にLDLコレステロールを下げるために用いる薬剤です。この薬剤を服用していると脳梗塞の発症リスクを下げられるという報告がされていて、その研究が進んでいます。
手術
血管吻合術(バイパス術)
詰まってしまった先に血液を届けるために、頭皮の血管をつなぐ手術です。血液が届かなくなった部分へ、吻合した頭皮血管から新たに血液が送り込まれます。
頸部内頸動脈内膜剥離術
頸部の内頸動脈の厚みを増している血管内膜をくり抜いて、狭窄を解消させる手術です。症状があって頸部頸動脈が50%以上狭窄している場合や、症状がなく60%以上狭窄している場合に、この手術を行うと薬物治療だけの場合よりも再発が少ないことが証明されています。
頸部内頸動脈ステント
狭窄している部分に金属でできたメッシュ状の筒を留置して、血管狭窄を解消する治療です。
リハビリ
脳梗塞によって手足の麻痺、言語障害などの後遺症がある場合には、リハビリテーションで機能回復を図ります。できるだけ早くリハビリテーションを開始することで効果を得られやすくなるとされています。
脳梗塞のまとめ
脳梗塞が疑われる症状
一刻も早い救急受診が必要なのは、左右どちらかに現れる脱力やしびれです。また、強く疑われる症状として、うまく話せない、呂律が回らない、視野狭窄、めまい、ふらつきなどがあります。
脳梗塞の診断
MRI検査により、精度の高い診断ができるようになっています。当院では、長年大学病院で脳神経外科専門医として臨床・研究を行ってきた院長が丁寧に読影して診断しています。院内でMRI検査が可能ですから、その日のうちに診断がつきます。血管異常も明瞭にわかるため、スピーディに適切な治療へつなげられます。
脳梗塞の早期治療が重要な理由
治療が早ければ、脳を救える可能性が高くなります。血栓を効果的に溶かす薬が登場してから、特に早期治療の重要性が高まっています。できるだけ深刻な後遺症を残さないためにも、「おかしい」と思ったらすぐに受診してください。
脳梗塞急性期の治療
脳梗塞発作を起こしてすぐ行う治療は、脳保護薬や微小循環改善薬の点滴です。発症3時間までの超急性期で条件が整っている場合は、さらに高い効果が見込める血栓溶解剤の注射も可能になります。また、血栓回収器を使用して、血管内治療を行うことも増えてきています。治療前には検査を行って状態を確認する時間も必要ですから、できるだけ早い受診が重要です。
脳梗塞慢性期の治療
再発防止のための治療、基礎疾患の治療、生活習慣改善、そして機能回復のためのリハビリテーションです。生活習慣病や心臓病がある場合にはその治療とコントロールが不可欠ですし、禁煙や節酒・禁酒も必要になります。
脳血栓と脳梗塞
脳梗塞の原因の1つが脳血栓です。脳血栓は脳血管内で血のかたまりである血栓ができて血流を阻害し、脳梗塞を発症させます。他には、脳以外の場所から血栓が流れてきて脳梗塞を起こす脳塞栓症、脳の深い部分に小さな脳梗塞を起こすラクナ梗塞などがあります。
脳梗塞と脳卒中
脳卒中は脳の血管障害による病気の総称で、脳梗塞も含まれます。他に、脳を覆うくも膜の下で太い動脈が破れるくも膜下出血、脳出血があります。脳出血は、脳内の細い動脈が破れて出血している状態です。
脳梗塞を発症する前触れ
脳梗塞はある日突然起こることが多いのですが、前兆として一過性脳虚血発作などを起こすことがあります。一過性脳虚血発作では、左右どちらかに半身のしびれなどが起こって、しばらくすると症状が消えてしまいます。症状がなくなった状態でも、脳梗塞発作を起こす可能性が高い状態ですから、すぐに受診してください。
死亡率と再発率
脳梗塞の死亡率は?
死亡率は約10%です。放置すれば死に至る可能性は低くありません。ですが、劇症化する前に発見、治療を行うケースが多いため、くも膜下出血等と比べ生存率が高い傾向にあります。しかし、脳卒中(くも膜下出血・脳内出血・脳梗塞)で最も発症例が多く、かつ再発率が高いため、決して軽視することはできません。後遺症が残ることも多く早期の治療が重要です。
脳梗塞の再発率は?
10年間で約50%です。3年以内の再発率が25%いうデータもあり、完治しても繰り返すことが非常に多いです。また2回目、3回目と回数を重ねるごとに重症化しやすくなる傾向にあり、治療後も再発防止に努めることが推奨されます。
どの程度見つかるのか?
脳梗塞はクリニックレベルでも度々目にする疾患で、当院でも毎週のように脳梗塞の患者様が見つかります。これは脳梗塞が決して稀な事例ではないこと、自覚症状による早期発見が現実的であることを示しています。有名な方では巨人軍の長嶋茂雄さんや、小渕恵三元総理も脳梗塞を発症しています。小渕総理の場合は死因にもなっています。
様子見しても良いのか?
自覚症状の聞き取りを行うと「何とか自力で動けるが明らかにおかしい」状況での受診が多く見られます。危険なケースは『おかしいが、とりあえず様子見で我慢してしまう』場合です。異常を感じたタイミングですぐに受診すれば間に合うケースは多々あります。放置すると後遺症のリスクが飛躍的に上がります。運悪く最初から重病だった場合や、しばらく我慢してから受診される場合は、助かったとしても何らかの後遺症が残る可能性が高いです。症状が合致していたら直ぐに受診してください。
余談 ~当院の経験上のお話~
実は自身を「脳梗塞かも?」と言って受診される方はあまりおられません。脳梗塞になった事のある方が「再発かも?」と疑う時ぐらいです。その代わりに診察で「脳梗塞かも」と思う症例に関しては、結構な確率で脳梗塞が見つかります。典型的な症状としてしびれや力が入らない、口や手、足の運動障害が挙げられます。これが身体の左右どちらかのみに顕著に起こっている場合は非常に疑わしいです。意外と言われるのですが、頭痛はあまり起こりません。血管の詰まりは頭痛を引き起こさないのです。あとは過去の脳梗塞が見つかるケースです。これが結構頻繁にあります。そのうち半数ぐらいの方は「~~ぐらい前の時期に身に覚えはない?」と聞くと「覚えがある」と答えます。隠れ脳梗塞と呼ばれる、無症候性の脳梗塞もありますので、、執筆中、、
即日MRI検査、結果説明が可能です
「思い立ったらすぐ検査」が可能です
当院ではMRI希望の方は、初診でもご予約を承っております。
そのため、当日のご予約、当日のご来院が可能です。
もし当日枠が埋まっていても、殆どの場合翌日には検査が可能です。
ご来院の際は、事前にお電話にてお問い合わせください。
電話番号:045-482-3800
1回のご来院で全てが終わります
1回のご来院で診察、MRI撮影、結果説明の全てを行います。
大病院でのMRI検査は診察、検査、結果説明と3回通う事も少なくありませんが、当院では何度も通う必要はありません。
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お役立ちコラム
記事監修

院長 泉山 仁
横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 院長
日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医
35年以上の経験を持つベテラン医師。モットーは真心のある診療。患者様にしっかりと説明を行い、よく理解してもらう事を大切にしている。気さくで親しみやすい診療が評判を呼んでいるが、実力の伴う医師である事も重要だと語る。現在もその経歴に奢ることなく勉学に励み続けている。
横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科
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