その他脳疾患

もやもや病

左右の頸動脈と脳底動脈が脳底部でリング状につながっているウィリス動脈輪の狭窄や閉塞を補うために、側副血行路を発達させて異常な血管構造になっている状態で、画像では血管像がもやもやした煙のように見えます。
10歳以下の脳虚血、30~40歳代の脳出血による発症が多い傾向があります。原因はまだはっきりわかっていません。主な症状は片半身麻痺、知覚異常、けいれん、勝手に手足が動く不随運動、歩行障害、呂律が回らない、言葉が出にくい、視野異常などです。軽い症状しか現れない場合、疾患の発見が遅れてしまうこともよくあります。脳出血は命に関わる可能性があるため、できるだけ早く発見することが重要です。MRI検査は負担が少なく短時間で結果がわかるため、子どもの診断にも有効です。
急性期治療は、他の脳疾患と同様です。慢性期には、抗血小板薬、抗凝固薬、血管拡張薬、抗けいれん薬、降圧剤など症状や状態に合わせた処方を行います。血管吻合術(血行再建術)が検討されることもあります。


一過性脳虚血発作(TIA)

脳梗塞と同じ症状が一時的に生じて24時間以内に自然に消失します。ほとんどは1時間程度で消えてしまいますが、放置していると脳梗塞を起こす可能性がとても高い状態です。動脈硬化と心臓の不整脈が主な原因とされています。大規模な調査で16~17%が90日以内に脳梗塞を起こし、その半数以上が48時間に発症していることがわかりました。主な症状には、身体の左右片側に起こる麻痺、言語障害、歩行障害、意識障害、感覚障害があり、めまいや頭痛などをともなうこともあります。突然、顔、腕、言葉の異変が起きて、数時間から1日以内に症状が消えてしまってもすぐに脳神経科の専門医を受診してMRI検査を受けてください。
原因に合わせて抗血小板薬か抗凝固薬を投与して脳梗塞発作予防につなげます。頸動脈内膜剥離術、頸動脈ステント留置術などが行われることもあります。また背景となる生活習慣病などの治療も重要です。治療は早ければ早いほど高い効果を見込めるため、できるだけ早く受診してください。


三叉神経痛

三叉神経とは顔の感覚を司る神経です。顔の左右それぞれに三つの大きな神経が通っています。赤色が第一枝領域、青色が第二枝領域、緑色が第三枝領域です。写真は帯状疱疹の方です。帯状疱疹は三叉神経のゾーンに沿って症状が出ます。この神経が痛みを発する状態を三叉神経痛と呼びます。


 
三叉神経痛は女性の方が多い傾向にあります。代表的な三叉神経痛は血管による三叉神経の圧迫により起こります。発作的な激痛が数秒から数分続き、それ以外は無症状です。また顔面神経麻痺も典型的症状で、痛む方の顔面に左右差が見られます。位置の関係上、虫歯と勘違いされる方がいらっしゃいます。
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