椎骨動脈解離

椎骨動脈解離(ついこつどうみゃくかいり)とは

椎骨動脈解離とは

椎骨動脈解離とは首を通る血管の膜が裂けたり、剥がれてしまう病気です。血管が裂けることにより偽腔と呼ばれる、本来の血液の通り道とは違った道ができます。これが血管のこぶ(動脈瘤)を形成したり、血管の詰まり(脳梗塞)、血管の破裂(くも膜下出血)を引き起こす原因となります。

椎骨動脈は首の左右に一本ずつあり、解離を起こした側だけが痛むケースが多いです。動脈解離で一番多いのは心臓の近くにある大動脈が解離することです。次に多いのが脳の血管におこる椎骨動脈解離(脳動脈解離)です。よく見られる初期症状はうなじや後頭部の強い痛みです。ほんの軽いケース以外は2~3日では良くならず、一週間、あるいはそれ以上の期間強い頭痛が続きます。

画像はBB法と呼ばれる手法で撮影した椎骨動脈です。赤丸側の椎骨動脈に白くなっている部分があり、これが解離と判断されます。反対側は正常な椎骨動脈のため白い所見は見られません。

~注意喚起~

椎骨動脈解離は現在でもそれなりの症例数があります。しかし、その一方で潜在的な症例が相当数あると考られます。椎骨動脈解離は見落されがちな疾患なのです。発症率は10万人に1~3人と言われていますが、当院ではこの数値は実態と異なると考えています。ちなみに当院ではここ四か月で5人見つけています。これは末端のクリニックとしては異常に高い発見率です。当院でばかり見つかる理由はこちらをご覧ください。

追記

2024年01月15日
8カ月で12人の椎骨動脈解離が見つかりました。最初は仮説から始めた診療方針ですが、予想通り次々に椎骨動脈解離の患者様が見つかるという結果となりました。
当院が12人もの椎骨動脈解離を発見できた理由

症状

  • 後頭部の頭痛
  • 首(うなじ)の痛み
  • 左右どちらかの痛み

椎骨動脈解離は40代から50代が好発年齢ですが、若い方にも起こります。左右片側だけの痛みである事が特徴です。痛みは通常の頭痛よりも強い傾向にあり、解離が続いている間はその痛みが続きます。わかやすくハッキリとした症状が特徴ですが、実は誤診や見逃しが非常に多いです。偏頭痛や寝違えと誤診される事がよくあります。理由は後述します。


こちらは頭から首まで広範囲を映した画像です。赤丸の分岐から先が椎骨動脈です。椎骨動脈の左側が細いと気付いた方はご名答です。実は椎骨動脈解離を起こしている方のMRI画像なのです。


正常に修復されると右の画像のように綺麗に血管が再開通します。
※同じ方の発見直後と三か月後の画像です。


原因

椎骨動脈解離は首に過度な負担が掛かった時に起こりやすい病気です。整体やカイロ、美容院でのシャンプーなども引き金になります。また首を激しく動かすスポーツや首に衝撃がくるスポーツ、交通事故によるもの、首をぶつける等でも起こりますいわゆる捻った、捻挫を起こしたという事象と同じく、無理な負荷は解離を引き起こします。意外なスポーツではゴルフでなる方がいらっしゃいます。また本人に自覚がなくても起こるものなので、必ずしも思い当たる節があるとは限りません。


検査

検査方法は造影剤使用によるCT撮影か、MRI撮影となります。通常撮影で血管を映し出せるMRI撮影が推奨されます。レントゲンでは椎骨動脈解離の鑑別はできません。レントゲンでは血管の状態が確認できないからです。尚、ただMRI検査を受けるだけでは見つかりません。MRIにて首のMRA検査を行う必要があります。


誤診、見逃しが多い理由

椎骨動脈解離は誤診や見逃しが非常に多い病気です。その理由は二つあります。

一つはレントゲンでは診断ができないからです。首の痛みがある場合は整形外科さんに行かれる方が多いと思います。そうなると、通常は骨の異常がないかをレントゲンで確認します。そこで異常がなければ、寝違えで筋を痛めたとか、姿勢の悪さからくるコリや血行不良といった診断が下されます。しかし、これは重要な事を確認しそびれています。それは椎骨動脈解離の疑いです。この病気を見つけるためには血管の撮影ができる検査が必要です。その為、MRIでの検査が必要なのです。

ここで二つ目の理由が出てきます。椎骨動脈解離はただMRI受けるだけでは見つかりません。つまり、後頭部の頭痛で脳神経外科を受診した場合でも見逃しは起こるのです。その理由は頭痛でのMRI撮影の通常工程に椎骨血管の撮影が含まれないクリニックが多数あるからです。鑑別する為には医師が椎骨動脈解離の疑いがあると判断し、MRA撮影と呼ばれる血管の撮影を行い、かつ脳だけでなく首も撮る必要があるのです。

当院では後頭部の痛みを訴える患者様には、慎重に確認するようにしています。BB法と呼ばれる撮影技法も併用して撮るケースもあります。血管MRAでハッキリとわかる症例なら良いのですが、実際には血管MRAでは判断が難しい症例があり、その場合、発見に至らない事になります。これをBB法を用いて、更に入念に確認することで椎骨動脈解離の発見率を上げています。

BB法は本来血管のプラークなどを調べる為に使う撮影方法ですが、実際に発見に繋がり非常に有効な検査方法であると実感しています。


誤診・見逃しで生まれるリスク

椎骨動脈解離は注意しながら経過を観察することが望ましく、誤診や見逃しが起こる事は非常に良くありません。それは椎骨動脈解離が重大脳疾患に繋がるリスクを抱えているからです。椎骨動脈解離のみで済めば頭痛が徐々に治まっていき、解離した部分も自然治癒していきます。しかし、その一方で脳梗塞やくも膜下出血に繋がる事があります。


整理するとこのようになります。

椎骨動脈解離のその後 下記のいずれかとなります。

  • 1.自然治癒により回復する
  • 2.血管が詰まり脳梗塞を発症する
  • 3.血管が破れくも膜下出血を発症する


脳梗塞やくも膜下出血は命の危険を伴う病気なので、可能な限りそのリスクは低減するべきです。例えば血管詰まりのリスクが高ければ抗血小板薬を処方することで、脳梗塞のリスクを飛躍的に下げる事ができます。しかし、このような取り組みは椎骨動脈解離である事を発見する事が前提です。ですから、どの程度、どのように解離しているかを診てもらう事が大切なのです。椎骨動脈解離は現代の医療では軽視されがちな病気ですが、もっとしっかりと精査し発見していくべきです。

2022年に吉本興業の千鳥ノブさんが、右椎骨動脈解離で入院した事で話題となりました。首の痛みが取れないとの事から発見に至ったそうです。幸いにも数日の入院と一か月程度の安静で済み大事には至りませんでした。椎骨動脈解離自体はそこまで稀な病気ではありません。ただ誤診や見逃しによる潜在的な患者様が相当数いると思われます。現に当院のような普通のクリニックでも椎骨動脈解離の患者様が見つかります。


どこで診てもらえば良いのか

「MRIがあり、椎骨動脈解離の精査をしてくれるクリニックへ行く」が答えです。ですが、この基準で探すことは難しいと思います。どの程度椎骨動脈解離に理解のある医師で、どのようにMRI撮影を行うかは公開情報ではないからです。MRI撮影には通常この工程で撮るというルーティーンがあるのですが、患者様が訴える症状によって撮影方法を追加したり変更する必要があります。例えば、椎骨動脈解離疑いなら血管MRA、聴神経腫瘍疑いならCISS法というようにです。

しかし、現実問題そのような柔軟な対応が出来るクリニックばかりではありません。何故なら、他の病院でMRIを受けた方が当院へ来て見逃しが見つかる事はよくあるからです。

実はここ二年程は帯状疱疹の患者様が増えています。局所的な強い痛みが椎骨動脈解離の症状と一致しますが、こちらは実際に患部を見ることで発見できます。帯状疱疹が増えた背景はこちらをご覧ください。

帯状疱疹が増えてからは他のクリニックでは見逃しが頻発していたと思います。他の病院でMRI上異常なし、原因不明と言われて当院へ来て、触診で発覚という事案が多発したのです。これはコロナ禍で患者と触れることを控えた事もあるでしょうが、最大の理由は医師が疑う疾患の選択肢に帯状疱疹がなかったことです。椎骨動脈解離も同じ状況に置かれています。はなから医師の選択肢にないせいで、血管MRA撮影を実施しないというケースがままあるのです。それでは見つかるものも見つかりません。



話を纏めます。

椎骨動脈解離は症状がハッキリしています。

  1. 後頭部の頭痛
  2. 首の痛み
  3. 左右どちらかの痛み

このような症状が1つでもある場合は、椎骨動脈解離の疑いを持ってください。

どこで診てもらえば良いかわからない場合は、当院で検査を承ります。
問診票に椎骨動脈解離疑いと書いてくだされば、しっかり精査させていただきます。

当院がこのような形で調べるようになりまだ数か月ですが、既に12人見つかっています。
繰り返しますが、潜在的にはかなりの数がおられると思います。

自覚症状のある方は速やかに検査を受けて、診てもらってください。

~実際に患者様を診て感じること~

「他の病院で既に頭のMRIを受けているのですが、、」という方が、当院へ来られるケースが増え始めています。患者様の目的は椎骨の不安を解消するためです。「前回の検査で椎骨に関する説明はあったのか?」と尋ねると、どの患者様からも「説明されていない」とお返事が返ってきます。皆様、後頭部痛で病院へ行かれているのですが、やはり大半のお医者様にとって椎骨動脈解離は頭痛原因の候補に入っていないのです。これはそのお医者様が悪いのではありません。稀な疾患として学んでいるので、いきなり候補にする病気ではないと認識しているのです。

ただ、実際に当院では何人も見つかっているという事実があります。実際に画像を見せながら「大丈夫です。椎骨動脈解離ではありません。」と説明してあげると、非常に安堵されるのでしっかり調べる価値はあると感じます。

しかし、「うちはいちいち椎骨まで調べたくない」という考えるクリニック様が沢山あるでしょう。そのお気持ちはわかります。稀な疾患のために検査の手間が増えるのは嫌ですよね。ただ、当院では稀な疾患ではないという認識を持って調べる事にしています。

患者様の安心に繋がる医療は非常に大切です。「病は気から」という言葉がありますが、この言葉は全くの迷信とは言えません。頭痛には精神的要因が絡むことが多々あります。病気ではないかという不安を抱えることは、頭痛に悪い影響を及す事はあれど良い方向には働きません。検査でその心のモヤモヤが解消されるのであれば、それは意味がある事なのです。よって、当院では椎骨動脈解離を不安に思う方には他所で検査を受けている、受けていないに関わらずしっかりと確認させていただきます。

よくある当院へのご質問

Q.検査や診察にどれぐらい時間が掛かりますか?
総所要時間は平均で2時間、混雑時で3時間程度です。状況により変動はありますので、目安としてお考えください。

Q.いくら掛かりますか?
初診+MRI検査で約8,500円です(3割負担の方の場合)。追加検査がある場合は総額で概ね10,000円~15,000円となります。

Q.何回通院する必要がありますか?
当院は1度で診察、MRI撮影、結果説明の全てを行う方針です。よって一回きりのご来院で大丈夫です。
※懸念事項があった場合、椎骨動脈解離が見つかった場合は例外です。

Q.貴院が特別高いということはありますか?
ありません。同じ性能のMRI、同じ検査内容なら、どこの病院でも値段は一緒です。

Q.BB法を用いた場合、値段は変わりますか?
変わりません。ご安心ください。


ワンポイントアドバイス

  • 後頭部の頭痛
  • 強い頭痛
  • 首(うなじ)の痛み
  • 左右どちらかの痛み

代表的な症状として上記4つを挙げましたが、いずれか1つでも当てはまれば懸念して良いと考えます。その理由として必ず起こると決まっている症状はないからです。尚、頭痛は約7割の方に発生し、痛みは強い傾向にあります。また、よく聞くと一過性脳虚血発作(TIA)を起こしている場合もあります。TIAとは脳梗塞の症状が短時間発生するものです。

下記に脳梗塞の症状を列記しますので、確認してみてください。

運動障害

身体の左右どちらか片側に力が入らない、食事中に箸や茶碗を落とす、歩いている時に傾くなど

感覚障害

身体の左右どちらか片側の手などがしびれる、感覚が鈍くなるなど

視覚障害

物が二重に見える、視野(見える範囲)が狭くなるなど

言語障害

言葉がうまく出ない、呂律が回らないなど

バランスの障害

ふらつく、めまいがする、足元がフワフワするなど

このような症状が短時間起きて、すぐに元に戻ったという方は、安心せずに必ず直ぐに受診してください。椎骨動脈解離と脳梗塞の両方が疑われます。TIAは脳梗塞の前兆で、TIAが起こった方のうち15~20%は3カ月以内に脳梗塞が起こります。


即日MRI検査、結果説明が可能です

「思い立ったらすぐ検査」が可能です

当院ではMRI希望の方は、初診でもご予約を承っております。
そのため、当日のご予約、当日のご来院が可能です。
もし当日枠が埋まっていても、殆どの場合翌日には検査が可能です。
ご来院の際は、事前にお電話にてお問い合わせください。
電話番号:045-482-3800

当院からのご提案:朝一番でのご予約をお勧めします。混雑時の滞在時間は平均3時間程度ですが、朝一で来る患者様は1時間半ほどでお帰りになられます。通常の時間帯より早く終わるのでお勧めです。ご希望の方は、お電話にて「朝一で予約したい。」とお申し付けください。

1回のご来院で全てが終わります

1回のご来院で診察、MRI撮影、結果説明の全てを行います。
大病院でのMRI検査は診察、検査、結果説明と3回通う事も少なくありませんが、当院では何度も通う必要はありません。
※より詳しい所見を必要とする場合、MRI以外の検査を行う場合は例外があります。
※椎骨動脈解離の場合は続けての来院が必要なケースが多いです。理由は経過観察に気を付けるべき状況にあるためです。

お役立ちコラム

記事監修

院長 泉山 仁

横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 院長
日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医

35年以上の経験を持つベテラン医師。モットーは真心のある診療。患者様にしっかりと説明を行い、よく理解してもらう事を大切にしている。気さくで親しみやすい診療が評判を呼んでいるが、実力の伴う医師である事も重要だと語る。現在もその経歴に奢ることなく勉学に励み続けている。


横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科
診療日:月~木曜日、土曜日 駐車場あり

〒227-0048 神奈川県横浜市青葉区柿の木台4-7
東急田園都市線藤が丘駅より徒歩8分、青葉台駅より徒歩13分。
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当日のご予約も可能です。



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