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解離性脳動脈瘤とは?治る?原因は?症状は?

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◆解離性脳動脈瘤とは?

このページの内容は動画でもご覧頂けます。※解離性脳動脈瘤と椎骨動脈解離は同じ病気です。


解離性脳動脈瘤は首の血管である椎骨動脈の膜が裂けたり、剥がれてしまう病気です。血管が裂けることにより偽腔と呼ばれる、本来の血液の通り道とは違った道ができます。これが重大脳疾患を起こす原因となります。


椎骨動脈は首の左右に一本ずつあります。

 

解離性脳動脈瘤が起こす重大脳疾患・病気

  1. 脳梗塞=血管の詰まり
  2. くも膜下出血=血管の破裂
  3. 動脈瘤=血管のこぶ

脳梗塞やくも膜下出血を発症すると死に至る可能性があります。つまり、椎骨動脈解離は危険な病気の一歩手前なのです。

尚、この病気は「椎骨動脈解離」とも呼ばれます。こちらの名称の方が広く使われています。

 


◆解離性脳動脈瘤の症状

  • 後頭部の頭痛
  • 首(うなじ)の痛み
  • 左右どちらかの痛み

強めの痛み一週間以上続きます。首の痛みは片側だけの事が多いです。好発年齢は40代~50代ですが、若い方にも起こります。通常、解離を起こした部分は自然修復されますが、一部の方は脳梗塞やくも膜下出血を発症します。

わかりやすくハッキリとした症状が特徴ですが、病院で見つけてもらえない事が多いです。理由は後述します。



簡易フローチャート



 


◆解離性脳動脈瘤で起こる重大脳疾患

  1. 脳梗塞
  2. くも膜下出血
  3. 動脈瘤

これらの病気は解離性脳動脈瘤ときっかけとして飛躍的に発症率が上がります。このリスクを最小限に抑えるためには、解離性脳動脈瘤の発見が必須です。

解離性脳動脈瘤は予後が良ければ、裂けた血管部分が自然修復されます。いわゆる治るに該当します。しかし、一部の方は下記の脳疾患を引き起こします。

 

脳梗塞とは?

脳の血管が詰まり、脳細胞が死滅してしまう状態です。死滅した脳細胞は回復しないため、その部分が担っていた感覚や機能は失われます。

死亡率:10% 年齢不問の場合
後遺症リスク:高 半身不随など
再発リスク:高 10年で50%が再発

クリニックで見つかる解離性脳動脈瘤は、大半が脳梗塞タイプです。抗血小板薬や抗凝固薬を飲む事で、発症率を低減することが可能です。

くも膜下出血とは?

脳の血管が破裂し、くも膜の下に血が溜まる病気です。脳の血管が破裂して出血を起こすと、脳の表面を覆うくも膜の下に血液が流れ込みます。命の危険に繋がる発作です。症状が現れたらすぐに救急受診してください。

くも膜下出血

死亡率:33% 年齢不問の場合
後遺症リスク:高 生存者の1/2が後遺症発症
再発リスク:高 10年で50%が再発

解離性脳動脈瘤からの発症の場合、3日以内に起こるケースが多いです。一気に劇症化するため、救急車で病院へ担ぎ込まれます。そのため、クリニックに来られる方から見つかることは稀です。

未破裂脳動脈瘤とは?

動脈瘤は未破裂脳動脈瘤と呼ばれるものです。脳血管の一部がこぶ状に膨れ上がった状態です。血管の壁がもろくなり風船のように膨らみます。脳動脈瘤の好発年齢は40~60歳で、女性に多くみられる傾向にあります。画像は大きな未破裂脳動脈瘤です。このクラスのサイズが見つかる事は稀です。



未破裂脳動脈瘤は椎骨動脈以外にもできます。椎骨動脈に出来る動脈瘤は、椎骨動脈解離の跡との判別が難しく、椎骨動脈の動脈瘤は全て解離だという考え方もあります。

◆解離性脳動脈瘤の原因

解離性脳動脈瘤は首に強い負担が掛かると起こりやすいです。整体やカイロ、美容院でのシャンプーなども引き金になります。

また首を激しく動かすスポーツや首に衝撃がくるスポーツ、交通事故によるもの、首をぶつける等でも起こります。無理な負荷は解離を引き起こします。過度のマラソンによる症例は度々見ます。また意外なスポーツではゴルフでなる方がいらっしゃいます。

尚、必ずそれらしい原因があるとは限りません。本人に自覚がなくても起こるものなので、思い当たる節がない場合もあるのです。



◆誤診・見逃しが多い理由

解離性脳動脈瘤は誤診や見逃しが多い病気です。その理由は二つあります。

一つはレントゲンでは診断できないからです。首の痛みは整形外科に行かれるでしょう。そうなると、通常は骨の異常がないかをレントゲンで確認します。

そこで異常がなければ、寝違えで筋を痛めたとか、姿勢の悪さからくるコリや血行不良といった診断が下されます。場合によってはレントゲンがCTになりますが、これも通常通りの撮り方では判断できません。

しかし、これは重要な事を確認していません。それは椎骨動脈解離の疑いです。この病気を見つけるには血管の情報が必要です。そのため、MRIでの検査が必要なのです。

MRI


ここで二つ目の理由が出てきます。椎骨動脈解離はだMRI受けるだけでは見つかりません。つまり、頭痛で脳神経外科を受診しても見つけてもらえない事があるのです。MRI撮影の通常工程に、椎骨動脈の血管撮影を含まないクリニックが多いからです。

解離性脳動脈瘤を見つけるには、以下の条件を全て満たす必要があります。

  1. 医師が椎骨動脈解離の疑いがあると判断する

  2. MRA撮影と呼ばれる血管撮影を実施する

  3. MRAは脳だけでなく首も撮る必要がある

当院では後頭部の痛みがある患者様を慎重に確認します。BB法と呼ばれる撮影技法を併用して撮るケースもあります。血管MRAでハッキリわかる症例なら良いですが、実際には血管MRAだけでは判断が難しい場合があります。

BB法チェックの実例

椎骨動脈を断面状に細かく映し、出血している部分がないかをチェックします。赤丸部分が白くなっていますが、これは出血がある事を示しています。つまり、椎骨動脈解離である事の裏付けになります。



◆どこで診てもらえば良いか?

「MRIがあり、椎骨動脈解離の精査ができる病院へ行く」が答えです。ですが、この基準で探すことは難しいです。どれぐらい解離に理解があり、どうMRI撮影を行うかは公開情報ではないからです。

MRI撮影には通常この工程で撮るというルーティーンがありますが、患者様によって撮影方法を追加したり、変更する必要があります。しかし、現実は柔軟な対応が出来るクリニックばかりではありません。

何故なら、他の病院でMRIを受け異常はないと言われた方が、当院へ来て見つかる事があるからです。この事例は特に椎骨動脈解離で多発します。



どこで診てもらえば良いかわからない場合は、当院で検査を承ります。問診票に「解離性脳動脈瘤疑い」と書いてくだされば、しっかり精査させていただきます。

当院では直近1年間で20人以上の解離性脳動脈瘤を発見しています。この発見数は一般的なクリニックではまず考えられません。それぐらいの数です。多数発見に至った理由は、この病気を慎重に精査したこと、疑い患者様が集まるようになったことです。

解離性脳動脈瘤の発症率は10万人に1~3人と言われています。医療業界では稀な病気との認識です。しかし、当院が「潜在的な患者様が多数いる」と踏んだ結果、実際に多数の患者様が見つかった事実があります。




◆よくある当院へのご質問

Q.検査や診察にどれぐらい時間が掛かりますか?
総所要時間は平均で2時間、混雑時で3時間程度です。状況により変動はありますので、目安としてお考えください。

Q.いくら掛かりますか?
初診+MRI検査で約8,500円です(3割負担の方の場合)。追加検査がある場合は総額で概ね10,000円~15,000円となります。

Q.何回通院する必要がありますか?
当院は1度で診察、MRI撮影、結果説明の全てを行う方針です。よって一回きりのご来院で大丈夫です。
※懸念事項があった場合、椎骨動脈解離が見つかった場合は例外です。

Q.BB法を用いた場合、値段は変わりますか?
変わりません。ご安心ください。

Q.予約制ですか?
予約制です。事前にお電話にてご予約ください。

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記事監修

院長 泉山 仁

・横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 院長
・日本脳神経外科学会専門医
・日本脳卒中学会専門医

平成27年 市が尾カリヨン病院 病院長
平成29年 青葉さわい病院 副院長
令和元年 横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 開業

 
 
横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科

田園都市線藤が丘駅より徒歩8分、青葉台駅より徒歩13分
診療:要予約制 診療日:月~木曜日、土曜日

初診でMRI希望の方は事前にお電話にてご予約ください。
当日のご予約も可能です。

 
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電話番号:045-482-3800
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