コラム

後頭部痛で病気が見つかった患者様/診療症例11

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こんにちは。
横浜市青葉区の脳神経外科・脳神経内科、横濱もえぎ野クリニックです。

本日は後頭部痛(頭の後ろが痛い)で受診された患者様のお話です。

患者様の症状
  • 強い後頭部痛がある
  • 普段は頭痛にならない
  • 後頭部痛が出てから6日目
  • 痛みが続いている

MRIで検査を行ったところ椎骨動脈解離が見つかりました。

椎骨動脈解離とは?

首を通る血管の膜が裂けたり、剥がれてしまう病気です。椎骨動脈は首の左右に一本ずつあり、解離を起こした側だけが痛むケースが多いです。よく見られる初期症状はうなじや後頭部の強い痛みです。左右片側だけの痛みである事が特徴です。痛みは通常の頭痛よりも強い傾向にあります。

代表的な症状
  • 後頭部の頭痛
  • 強い頭痛
  • 首(うなじ)の痛み
  • 左右どちらかの痛み


これは首の血管を撮影した画像です。

青の矢印で指している部分が椎骨動脈です。
通常はこの動脈が左と右に1本ずつ存在します。
しかし、画像の赤丸部分を見ると、反対側は何かおかしい状態です。

このような状態を撮影技師が確認した場合、当院では椎骨動脈解離の疑いを持ち、追加の撮影を行います。
ですが、ここまではっきりと違和感を認識できる画像が出てきても、椎骨動脈解離の確認を行わない病院が多くあります。
医師から椎骨動脈解離の精査をしてと依頼されていなければ、通常通りの工程のみで撮ることが多いのです。
これが椎骨動脈解離の見逃しを多発させています。


こちらは先ほどの画像と別の手法で撮影したものです。首の部分を拡大しています。
先ほどの画像が血流を撮っているのに対し、こちらは血管そのものが存在しているか、どれぐらい太いかを確認できます。
椎骨動脈は先天的に片側が細かったり、存在しない方がおられますのでその確認を行うのです。

赤丸をご覧いただければわかるように、左右どちらにもしっかりと太い血管が存在しています。
つまり、この方は左右どちらにも椎骨動脈があります。

この2枚の画像から次のことがわかります。

・椎骨動脈は左右とも正常に存在する
・何らかの理由で片側の血流に異常が見られる



こうなると当院ではもう一歩踏み込みます。

画像はさらに別の手法で椎骨動脈を撮影したものです。
断面を画像化する事で出血性の病変をより正確に見つけることができます。

血流に異常が見られる側の椎骨動脈に出血が見られます。
反対側は正常な椎骨動脈のため白い所見は見られません。

 

よって、この方の後頭部痛の原因は椎骨動脈解離である事がわかりました。

 

椎骨動脈解離のその後は、以下のいずれかとなります。

  • 1.自然治癒により回復する
  • 2.血管が詰まり脳梗塞を発症する
  • 3.血管が破れくも膜下出血を発症する


椎骨動脈解離は危ない病気の一歩手前という状態です。
椎骨動脈は弱った状態のため、解離状態で首に負担を掛けると最悪の場合死に至ります。

ですから、ご本人には首に負担を掛けないよう注意を促します。
また脳梗塞やくも膜下出血を防止するために、予防薬を処方します。

自然治癒する場合は血管が再開通します。
ただし即日治るものではありません。
少なくとも3カ月ぐらいは安静にしておいた方が良いです。

この方には運動を控える旨と、痛み止めと脳梗塞予防のお薬を処方し、再来院を指示しました。
要経過観察の症例に該当するため、適切なフォローアップが必要だからです。

p.s.
椎骨動脈解離の詳しい解説はこちらをご覧ください。


記事監修

院長 泉山 仁

横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 院長
日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医

35年以上の経験を持つベテラン医師。モットーは真心のある診療。患者様にしっかりと説明を行い、よく理解してもらう事を大切にしている。気さくで親しみやすい診療が評判を呼んでいるが、実力の伴う医師である事も重要だと語る。現在もその経歴に奢ることなく勉学に励み続けている。



横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科

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