後頭部の頭痛|原因と病院へ行くべき危険なサイン【脳神経外科医監修】

後頭部の頭痛は、主に緊張型頭痛、後頭神経痛、偏頭痛などが原因で起こります。ただし、殴られたような激痛や首の痛みを伴う場合はくも膜下出血や椎骨動脈解離の可能性があるため、直ちに脳神経外科の受診が必要です。

以下は後頭部頭痛の方向けの早見表です。目的に合った項目をクリックしてください。

頭痛の原因が知りたい


締め付けられるような痛み → 緊張型頭痛の疑い

緊張型頭痛で首や肩の筋肉が原因の図

頭痛で最も多い原因が、緊張型頭痛です。頭痛患者様のうち、実に7割以上が緊張型頭痛です。この頭痛は筋肉の緊張や疲労によって起こる為、首や肩との関連性が深いです。首や肩の疲労が頭痛へ繋がるケースがよくあります。ストレートネックとの併発が非常に多く、まさに現代病を代表する疾患です。

ズキズキ・ズキンズキンする痛み → 偏頭痛の疑い

偏頭痛でこめかみのズキズキする痛みを示す図

こめかみが痛む方が多い頭痛です。緊張型頭痛より痛みが強い傾向があり、生活に支障が出やすいです。首の付け根を併発する方が少なくないです。偏頭痛の前兆症状として、首が痛む方もいれば、首が根本的な原因となっている方、偏頭痛に伴って症状が出る部位となっている方など様々です。

 

ジンジン・ジリジリとした痛み → 後頭神経痛の疑い

後頭神経痛で後頭部から首にかけて痛む部位の図

神経痛の一種です。後頭部から首にかけて強い痛みが起こります。局所的にジンジン、ジリジリと痛みます。表面の神経が刺激されるのが原因です。うなじが典型的な発生部位のため、酷い寝違えと勘違いされがちです。神経痛と言いますと難治性の印象がありますが、後頭神経痛は治りやすい部類で、一週間~十日程度で治っていきます。

 

激烈な頭痛、嘔吐 → くも膜下出血の疑い

くも膜下出血で突然の激しい頭痛や嘔吐を示す図

脳の血管が破裂すると起こります。経験した事のない強烈な痛みが頭や首を襲います。また、首の痛みは前兆症状の代表格でもあり、違和感のある首の痛みには注意が必要です。なお軽傷の場合、緊張型頭痛や偏頭痛とおぼしく症状ながら、MRIやCTでくも膜下出血が見つかるという恐ろしい事例もあります。

 

ずっと続く頭痛、または首の痛み → 椎骨動脈解離の疑い

椎骨動脈解離による首や後頭部の痛みを示す図

首を通る血管が裂ける病気です。発症中はくも膜下出血や脳梗塞のリスクが飛躍的に上がります。首の付け根が痛むと訴える方もいます。後頭部の頭痛と首の痛みで疑われるべき病気ですが、実際の診療では見逃しが多発しています。病院、クリニックへ行っても見落とされるという特殊な事情を抱えた疾患です。

 

病気の可能性が知りたい

脳血管疾患の疑い

特徴:突然の激しい頭痛、首や後頭部に走る痛み
伴う症状:吐き気、嘔吐、手足のしびれ、ろれつが回らない、意識の混濁
考えられる病気:くも膜下出血、脳出血、脳梗塞など
対処:迷わず救急外来へ。症状が少しでもある場合は緊急対応が必要

その他の脳疾患の疑い

特徴:徐々に強くなる頭痛、特に朝や夜間に悪化
伴う症状:吐き気、視覚異常、発熱、意識障害、認知機能の変化
考えられる病気:脳腫瘍、脳膿瘍、髄膜炎など
対処:自己判断せず、早めに脳神経外科や脳神経内科での検査を受ける

椎骨動脈解離の疑い

特徴:首や後頭部の片側に鋭い痛み、首を動かすと悪化することがある
伴う症状:めまい、ふらつき、視覚異常、言語障害、手足のしびれ
原因:外傷や首の急な動き、スポーツ中の負荷などで血管が傷つくことがある
対処:早急に救急外来または神経内科で受診。血管の精密検査が必要

上記に該当する症状がない場合

下記より該当する症状をお探しください。

 

病院へ行くべきか知りたい

病院へ行くべきサイン(一般編)

① 頭痛が数日〜1週間以上続いている

よくある特徴
・後頭部の痛みが毎日、または断続的に続く
・痛みの強さは中程度
・完全には治らない

② 市販の鎮痛薬が効かない/効きが悪くなってきた

よくある特徴
・前は効いていた薬が効かない
・薬を飲む回数が増えている

③ 後頭部痛だけでなく首も痛い

よくある特徴
・痛みが結構強い
・一週間以上痛みが続いている
・痛みで目が覚める

④ 日常生活のストレスとなっている

特徴
・頭痛が起きたり、止んだりを繰り返す
・頭痛で生活の質が落ちている
・病院へ行くか悩むレベルになっている

⑤ 頭痛のパターンが変わってきた

特徴
・痛む場所が広がった
・頻度が増えた
・以前と違うタイプの痛み

病院へ行くべきサイン(緊急編)

次の症状が1つでも当てはまる場合は、早めに受診してください。

🚨 緊急性が高い症状

  • 今までにない激しい頭痛
  • 発熱・嘔吐・意識がぼんやりする
  • 手足のしびれ、力が入らない

  • ろれつが回らない
  • 視界が二重・見えにくい
  • 頭を打った後の頭痛

👉 くも膜下出血、脳出血、髄膜炎などの可能性があります。

頭痛は何科を受診すればいい?

  • 最優先:脳神経外科・脳神経内科
    → MRIやCTがある医療機関が望ましい

  • 内科でも診察は可能だが、
    → 脳の画像検査ができないため、危険な頭痛を十分に除外できない場合がある

👉 安全のため、まずは脳神経外科・脳神経内科の受診が安心

⚠️ 注意
脳神経外科・脳神経内科を掲げていても、検査機器(MRI・CT)の設置がないクリニックがあります。
特に他の診療科を併設した「〇〇科+脳神経内科」では、設置の可能性が高いため、受診前に確認することが大切です。

対処法・予防法が知りたい

後頭部頭痛の対処法(今つらいとき)

① 首・肩を温める

蒸しタオル、入浴、カイロなど
血流が改善し、筋肉の緊張が和らぐ

② 姿勢を一度リセットする

背筋を伸ばす
顎を軽く引く(頭が前に出すぎない)
30〜60分に1回は立ち上がる

③ 軽いストレッチ

首をゆっくり前後・左右に倒す
肩を回す
※痛みが強いときは無理に動かさない

④ 目を休ませる

スマホ・PCから一旦離れる
目を閉じる、遠くを見る

⑤ 市販の鎮痛薬を適切に使う

用量・回数を守る
効かない場合は無理に飲み続けない

後頭部頭痛の予防法(繰り返さないために)

① 首・肩に負担をかけない環境づくり

画面は目の高さに合わせる
椅子に深く座り、背もたれを使う
スマホは顔の高さまで上げる

② 長時間同じ姿勢を避ける

1時間に1回は姿勢を変える
立ち上がって軽く動く

③ 枕・寝具を見直す

高すぎ・低すぎない枕
首のカーブを支えるものが理想
朝起きたときに首が痛いなら要注意

④ 肩・首を冷やさない

冷房の風を直接当てない
首元を温める習慣をつける

⑤ ストレス・睡眠管理

睡眠不足は頭痛の大敵
寝る前のスマホは控えめに
深呼吸や軽い運動も有効

⑥ 水分をこまめにとる

脱水は頭痛の原因になりやすい
コーヒー・アルコールだけに偏らない

 

後頭部頭痛のQ&A

Q1. 後頭部が痛む原因として多いものは?
緊張型頭痛(締め付けられる痛み)と後頭神経痛(ピリピリとした鋭い痛み)です。

Q2. ズキズキと脈打つような痛みの原因は?
片頭痛が最も考えられます。体を動かすと悪化し、吐き気を伴うこともあります。

Q3. 後頭部の痛みを和らげる方法は?
緊張型頭痛:温める、ストレッチ。
偏頭痛:冷やす、暗い場所で安静にしましょう。

Q4. どのような症状は病院を受診すべき?
突然の激しい痛み、一向に良くならない頭痛、麻痺や意識障害など身体的異常を伴う場合はすぐに受診してください。

Q5. 病院は何科を受診すれば良い?
脳神経外科、または脳神経内科です。MRIかCTのあるクリニックを推奨します。

 

最も見落とされやすい病気

最後に、後頭部頭痛で特に注意すべき病気をお伝えします。
それが 「椎骨動脈解離」 です。

この病気は、通常の診察だけでは見逃されやすく、医療機関を受診していても発見されないことが少なくありません。しかし、椎骨動脈解離があると、脳梗塞やくも膜下出血を起こすリスクが著しく高まります。

なお、当院では過去3年半で113名の椎骨動脈解離を診断していますが、これは極めて特殊な状況です。多くの医療機関では同疾患を診る機会自体が非常に限られています。

どのような病気なのか、なぜ見落とされやすいのかについては、下記の記事をご覧ください。

記事監修

横濱もえぎ野クリニック 院長 泉山仁の写真
院長 泉山 仁

・横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 院長
・日本脳神経外科学会専門医
・日本脳卒中学会専門医

平成27年 市が尾カリヨン病院 病院長
平成29年 青葉さわい病院 副院長
令和元年 横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 開業

横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科
田園都市線藤が丘駅より徒歩8分、青葉台駅より徒歩13分

診療:要予約制 診療日:月~木曜日、土曜日

 
電話番号:045-482-3800

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