公開:2026/1/30 更新:2026/2/12
病気について調べると、難しい言葉が並ぶため、理解が追いつかないこともあります。
そこで、この記事では「わかりやすさ」を優先して説明します。
本ページは椎骨動脈解離の「より詳しく知りたい方向け」です。
基礎から確認したい方は、まず椎骨動脈解離とは?をご覧ください。
脳の動脈解離
動脈解離は脳の様々な血管で起こりますが、
そのうち70~80%は「椎骨動脈」で発生します。
椎骨動脈とは首を通る二本の血管です。

知っておくべきこと
解離を発症すると、くも膜下出血や脳梗塞が起こりやすくなります。
ただし、多くの方は適切な診断と治療で経過を見守ることが可能です。
1. くも膜下出血(脳の血管が破裂)
・突然の強烈な頭痛
・致死率は約33%
・発症のピークは解離発生後3日以内
▶くも膜下出血とは?
2. 内因性くも膜下出血
・内因性=頭を打つなどの外傷が原因ではない
・解離など、身体の内側が原因として発生する
実はくも膜下出血のうち、約3%が椎骨動脈解離によるものです。
ただし、来院される方の多くは、くも膜下出血発症のピークを越えています。
なぜなら、来院される方の多くは、数日〜2週間ほど経ってから受診されるためです。
頭痛を発症し即日病院へ来られる方は少ないです。
では、4日目以降は何を気にすべきか?
それは脳梗塞の発症リスクです。
3.脳梗塞(血管が詰まる)
身体の片側の麻痺や会話の異常、物を落とすなどの症状
致死率は約10%
発症はくも膜下出血より遅く、数日~数週間後に起こることがあります
▶脳梗塞とは?
脳梗塞も発症から3日以内の発生が多いですが、注意すべき点があります。
それは数日〜数週間後に発症する「時間差の脳梗塞」です。
発症のタイミングとして、くも膜下出血より遅れて起こることが多いのです。
この時間差の異変を見逃さないために、外来で注意深く観察を続けます。
特徴
画像の特徴:膨らみと狭まり
椎骨動脈解離の特徴は、血管がこぶのように膨らみ、その前後は細くなる形です。
※典型的な椎骨動脈解離の画像を参考にしてください。

診断の難しさ
ただし、典型的な形で見つかるケースは一部です。
複数の角度や方法で撮影し、総合的に判断する必要があります。
この判断力こそが「経験で培われる能力」です。
医師歴が長いからといって、解離の発見能力が高いわけではありません。
形は変わる
解離した血管は、発症から半年ほどの間に形が変わっていきます。
-
血流が悪化し、血管が映らなくなる
-
膨らみがさらに大きくなる など……。
初回と二回目の画像を比較すると、大抵は何らかの変化があります。
この時、血の流れが途絶えたように見えるケースがあります。
(※画像参照:向かって左側の血管が消失)。

一見、絶望的な変化に思えます。
ですが、細いながらも血は通っている場合がよくあります。
これにはMRI特有のタイムラグが関係しています。
「詰まってたのか」・「血の流れが少ないのか」の判断は
別の撮影技法を用いて確認する必要があります。
見た目だけで焦らず、経験豊富な医師の判断が重要です。
解離経験者の割合
東京都観察医務院が、脳疾患以外で亡くなった173名を調査した事例があります。
なんと10.6%の方に「椎骨動脈解離が起こった跡」が見つかりました。
この結果は、椎骨動脈解離が「誰にでも起こり得る」という可能性を示唆しています。
見過ごされる「潜在的な患者様」
この病気は、一般的な脳神経外科クリニックで「年に数人見つかる程度」です。
しかし、当院で徹底した精査を行ったところ
3年半で113名もの椎骨動脈解離を確認しました。
年間40名近いペースです。
世の中には、「潜在的な患者様」が多数存在することを、数字が証明しています。
発生位置
椎骨動脈解離は「どこで」起こるのか?
椎骨動脈解離の多くは、より頭に近い部分で発生します。
椎骨動脈は途中で二股に分かれますが、その分岐点に近い場所です。
血管、V1(首の付け根)から
頭蓋骨の中に入るV4(脳のすぐ手前)まで
4つのエリアに分かれています

引用先:T2-Reversed BPASによる椎骨動脈描出能の改善
解離の多くはV4またはV3で起こります。
「広範囲の検査」が必要な理由
まれにV1やV2など首の下部で起こりますが、殆どのケースで見逃されてしまいます。
下記の条件をクリアしないと発見できません。
- 医師が「解離」を疑う
- 意図的に広い範囲を撮らせる
- 医師が下の方まできっちり画像を確認
危険な箇所は
「V4ゾーン」の解離
最も危険性が高いのが「V4」での解離です。
V4は2本の血管が合流する直前の箇所にあたります。
「脳底動脈」が詰まるリスク
椎骨動脈は左右に2本あります。
片方の血管が詰まると、反対側から補えます。
しかし、合流部まで裂けが進むと血流が完全に途絶えます
合流した後の「脳底動脈」まで詰まると、血の行き先が無くなるのです。
この場所を画像にしますと、緑の×印の部分です。

この「最悪のシナリオ」を未然に防ぐことが、検査と治療の目的でもあります。
どこで診てもらう?
椎骨動脈解離の不安がある場合、最も重要なのは
「解離の診断経験が豊富な医師」に診てもらうことです。
脳神経外科を受診しても、『異常なし』で見落とされるケースが多発しています。
なぜ「見逃し」が起きるのか
脳神経外科を受診しても「異常なし」で見落とされるケースが多発するからです。
詳しい説明は▶なぜ椎骨動脈解離は見逃される?に譲ります。
当院の使命
「当院だけでも、精度の高い検査を行いたい」
その思いで尽力してきた結果、現在では年間40名近いペースで椎骨動脈解離を診断するに至っています。
不安を抱えて来院された方に、当院なりの判断を素直にお伝えします。
この安心、信頼感を提供することが、私たちの目的です。
記事監修
院長 泉山 仁
・横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 院長
・日本脳神経外科学会専門医
・日本脳卒中学会専門医
平成27年 市が尾カリヨン病院 病院長
平成29年 青葉さわい病院 副院長
令和元年 横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 開業
田園都市線藤が丘駅より徒歩8分、青葉台駅より徒歩13分
診療:要予約制 診療日:月~木曜日、土曜日