ただの頭痛に潜む椎骨動脈解離/診療症例23

院長 泉山 仁
執筆・監修 医師紹介 ▶
院長 泉山 仁 (脳神経外科専門医)
昭和大学横浜市北部病院 脳神経外科元部長、市ケ尾カリヨン病院元病院長。専門医として日々の診療で得た知見に基づき執筆します。

患者様の状況

  • 50代女性の方
  • 後頭部頭痛あり
  • 数日前から痛い
  • 解離の典型症状はなし

 

椎骨動脈解離の典型症状

  • 痛みが強い
  • 痛み止めで治まらない
  • ずっと頭痛が続いている
  • 痛みで目覚める
  • きっかけがあった
  • 首も痛い

これらの要因が複数あると、解離疑いが強まります。

今回の患者様の場合は、別段強い訴えはなく
普通の後頭部頭痛と思われるケースでした。

とは、言いましてもキチンと精査はします。
MRI検査を行いました。

椎骨動脈に異常所見が見られます。
これは血の流れを映す撮影方法です。


今度は血管の太さがわかる撮影方法で確認します。

分岐部分に、狭まりと膨らみが見受けられます。
椎骨動脈解離の症状です。

 

さらに別の撮影方法で出血の有無を確認しましたが
画像上、出血は確認できませんでした。

頭痛発症からまだ数日のため、
タイムラグで出血が映らない期間と判断しました。

出血が確認できる場合の一例



出血度合いにもよりますが、発症から一週間程度は映らないケースがあります。
次回のMRI撮影時には出血が映るでしょう。

診療上の問題

今回の方もそうなのですが、問診で症状を伺う範囲では
解離の疑いを持つことが難しいケースがあります。

この方の場合は画像上、わかりやすい異常が見られるため
見つけてもらえるでしょう。

しかし、これはラッキーケースです。
問診で解離疑いの要素がない場合、9割以上が見逃されます

なぜなら、椎骨動脈解離の確認を行うには
通常のMRIの工程にはない、追加の撮影が必要だからです。


当院では椎骨動脈解離の患者様を多数診ています。
直近3年半で113名診ています。

普通のクリニックの十倍ぐらい数です。これには理由があります。
当院がこの病気を懸念する方針+不安のある患者様が集まってくる
という環境のためです。

ただの頭痛から解離が見つかる

解離が見つかる患者様の中には
今回のようにあまり疑わしくないと考えた方が含まれています

10~15%程度は、このような患者様です。
「この人は違うかな」という方から見つかるのです。


これは医学的に認知されていない事実です。
典型的症状以外の方からも、散発的に見つかります

実は当院では、以前より十分あり得る事象と考えていました。
なぜなら、解離は世間が思うほど珍しい病気ではないという認識があるからです。

参照:椎骨動脈解離、有病率20%の驚愕データ


こうなると、そこまで症状は当てはまらないけど
心配だからウチに来たという患者様からも、時々アタリが出るのです。

「ただの頭痛」や「ちょっと首も痛いかなぁ?」など
普通の頭痛と思われる自覚症状の方です。

患者様は念のための意識で検査しにくるため
解離だとわかると、ギョッとするわけです。

ただ、大半はウチで診れる範囲ですから、
通院していただき治るまで面倒を診ていけます。

本当に検査の必要があるのか?

念のため調べてもらった方が良い。は
「儲かるから言ってるんでしょ」とか「実際は調べる必要ないんでしょ」
と後ろ向きな捉え方をされる方もいます。

しかし、少なくともこの病気に関しては調べる価値があると断言できます。

これが何てことのない病気なら、そこまでして調べる必要はないです。

ですが、椎骨動脈解離という病気は、脳梗塞やくも膜下出血が起こる確率を飛躍的に上昇させます
それらが発症したら最悪の場合、亡くなります。だからこそ、調べておいた方が良いと言うのです。

検査を行う場合は、MRIかCTのある脳神経外科へ行ってください。
検査機器のないクリニックもありますので、必ず事前に確認してください。

記事監修

院長 泉山 仁

・横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 院長
・日本脳神経外科学会専門医
・日本脳卒中学会専門医

平成27年 市が尾カリヨン病院 病院長
平成29年 青葉さわい病院 副院長
令和元年 横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 開業

横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科
田園都市線藤が丘駅より徒歩8分、青葉台駅より徒歩13分

診療:要予約制 診療日:月~木曜日、土曜日

 
電話番号:045-482-3800

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