緊張型頭痛 治療の革命児/ロコアテープとは?

ロコアテープは巷で「最強の湿布薬」と呼ばれていますが、なぜそれほど評価されているのか?どんな特徴があるのか?を解説していきます。

まずは緊張型頭痛と、飲み薬・貼り薬の違いを簡単にお話してから、本題に入ります。

緊張型頭痛とは?

全頭痛の7~8割を占める、多くの人が経験する頭痛です。
頭を締め付けられるような痛みが特徴です。


原因は肩や首のコリが圧倒的に多いです。
姿勢の悪さは同じ姿勢による血流の低下が頭痛を発生させます。

緊張型頭痛の解説はこちら

頭痛治療の貼り薬

頭痛治療の多くは痛み止めの対処療法です。飲み薬のロキソニン錠や、湿布のロキソニンテープは馴染みのある方も多いでしょう。

実際に緊張型頭痛の治療にはロキソニンが最も多く使われています。ですが、ここ数年この常識が変わりつつあります。

それはロコアテープの登場です。ロコアテープは2016年に大正製薬から登場した、比較的新しい湿布薬です。


湿布は貼り付けた部分に直接作用します。ですが、残念な点があります。浸透率の関係で飲み薬より効きが弱い傾向にあるのです。

では、ロコアテープはその問題をどう解決したのでしょうか?
続きます。

ロコアテープの特徴

経皮吸収性の高さ

ロコアテープは、有効成分である「エスフルルビプロフェン」が皮膚から高い割合で吸収されるように設計されています。これは、ハッカ油を配合することで皮膚への浸透性を高めているためです。
その結果、貼り薬でありながら、飲み薬と同程度の有効成分が患部に届き、強力な鎮痛・消炎効果を発揮します。

強力なCOX阻害作用

ロコアテープは、痛みや炎症の原因物質であるプロスタグランジンの生成を促すCOX(シクロオキシゲナーゼ)酵素の働きを強く阻害します。特に、炎症を引き起こすCOX-2への作用が期待されています。
有効成分のエスフルルビプロフェンは、フルルビプロフェンという物質のS体(有効な鏡像異性体)のみを利用しており、より有効性の高い効果をもたらします

 

ロコアテープの開発目的

ロコアテープは二つの目的で開発されました。

1.胃腸障害の懸念がない薬を作る

ロキソニンなどに代表される飲み薬は、胃を荒らす副作用があります。このため、胃薬とセットで処方されるケースが多いです。

2.効能の高い湿布を作る

湿布は局所的に作用するため、身体への安全性が高いです。しかし効きめに関しては劣る部分があり、それが湿布薬の課題でした。

 

1番は湿布薬にする事で解決します。問題は2番です。どう浸透率を上げて、より効く湿布を開発するかです。

そこで考えられた手法が製剤方法の変更です。湿布薬はS体とR体で作られています。両方とも痛みに効く成分ではあります。

ですが、より皮膚への浸透度が高いS体だけで作ると、痛みに対して高い効能が期待できます。この理論をもとに開発されたのがロコアテープです。

他の湿布薬との比較


まずは浸透率のデータです。

経皮吸収率(ラット)

エスフルルビプロフェン(ロコアテープの主成分)
93

ケトプロフェン(モーラステープの主成分)
67

ロキソプロフェン活性代謝物(ロキソニンテープの主成分) 
32

 

続きまして、薬剤の効きめの強さデータです。

数値が低い程、効きめが強いです。

引用先:クリニックマガジン 43巻 7号

COX-1 阻害作用

エスフルルビプロフェン(ロコアテープの主成分)
8.97

ケトプロフェン(モーラステープの主成分)
38.2

ロキソプロフェン活性代謝物(ロキソニンテープの主成分) 
1470
COX-2 阻害作用

エスフルルビプロフェン(ロコアテープの主成分)
2.94

ケトプロフェン(モーラステープの主成分)
26.1

ロキソプロフェン活性代謝物(ロキソニンテープの主成分) 
25.9

 

最後に改善度についてのデータです。


引用先:クリニックマガジン 43巻 7号

改善度

改善 95.5%
悪化 判定不能 4.5%

改善内訳

著明改善 41.3%
中程度改善 31.8%
軽度改善 21.4%


なぜ知名度が劣るのか?

ロコアテープは前述のデータ通り、極めて優秀な湿布です。しかし、知名度はいま一つです。その理由は2つあります。

1.薬局に売っていない

ライバルとなる、ロキソニンテープやモーラステープは痛み止めコーナーに並べられていますが、ロコアテープは陳列されていません。何故なら、薬局で販売する許可が降りていないためです。

2.処方する医療機関が少ない

ロコアテープの処方を行うクリニックは全体の5%程度です。現状、唯一の入手方法が医療機関からの処方ですが、20件に1件程度しかロコアテープを出していないという実情があります。

それでも、ロコアテープの流通量は年間1億4千万枚です。湿布薬全体から見れば小さなシェアですが、確かに効果を実感し、愛用されています。実際に当院にもロコアテープが「非常に良かったと仰り、また欲しいです。」と来院される方がおられます。

 

緊張型頭痛の方へ

ロコアテープは緊張型頭痛に顕著に効きます。肩や首の緊張から来る頭痛のため、肩や首に貼り付けてあげると、よく効きます。ただ、公平性を期すため、ここでは悪い部分についても書きます。

主なデメリットは下記の通りです。

  • 1日2枚までの制限がある
  • 強い薬のため貼りっぱなしにできない(かぶれる恐れがあるため)
  • ハッカ特有の匂いがある
  • 粘着力が強い

ただ、これらのデメリットを強く気にされる方は殆どおられません。稀にハッカが苦手な方が嫌がるぐらいです。
粘着力が強い件は、水やぬるま湯で濡らすと剥がれやすくなります。




飲み薬の痛み止めや他の湿布で物足りない方には、非常に良い選択肢かもしれません。ただ、残念な事に頭痛にロコアテープを出す医師は少数で、選択肢にすら入っていないケースも多いです。

そのため、患者様が試してみたいと思っても少しハードルが高いです。試してみたい方は、一度当院へお越しいただければと思います。

クリニック情報

  • 当院は横浜市青葉区にある脳神経外科・脳神経内科クリニックです。
  • 田園都市線藤が丘駅から徒歩8分です。
  • ロコアテープはMRI検査で脳に異常がない事を確認してからの処方となります。
  • 当院は予約制です。事前にお電話でご予約ください。


診療日:月~木曜日、土曜日
診療時間:午前/9時~13時 午後/15時~18時

電話番号:045-482-3800

診察のみでの処方を希望される場合は、検査機器のない脳神経内科などへ行かれてみてください。※処方してもらえるかは先生次第です。先生の考え方次第では断られるケースも多分にあると思います。

 

記事監修

院長 泉山 仁

・横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 院長
・日本脳神経外科学会専門医
・日本脳卒中学会専門医

平成27年 市が尾カリヨン病院 病院長
平成29年 青葉さわい病院 副院長
令和元年 横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 開業

横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科
田園都市線藤が丘駅より徒歩8分、青葉台駅より徒歩13分

診療:要予約制 診療日:月~木曜日、土曜日

 
電話番号:045-482-3800

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