後頭神経痛の薬/ブロック注射の効果は?

 

ブロック注射は非常に有効かつ即効性の高い治療法 💉

後頭神経痛の治療において、ブロック注射は内服の痛み止め薬と比較して、圧倒的な即効性と持続的な有効性の高さを誇る極めて有効な選択肢です。注射後、わずか5分から30分という驚くほどの短時間で、患者の多くが痛みの劇的な緩和を実感できます。

臨床データでは、78%もの患者に痛みの緩和効果が見られることが報告されています。これは、ブロック注射が単なる一時的な鎮痛作用ではなく、痛みの発生メカニズムそのものに深くアプローチしていることを示しています。

ブロック注射がすぐに効く理由:薬理作用と初期の臨床反応

1.局所麻酔薬の薬理作用に基づく即効性の発現メカニズム

後頭神経ブロックに用いられる局所麻酔薬(例:リドカイン、ブピバカインなど)は、神経細胞の膜電位を安定させ、活動電位の発生と伝達を一時的に遮断する強力な作用を持っています。この薬理作用は、注射後数分以内という非常に短い時間で発現します。

これにより、痛みの信号が後頭部の神経から脳へと伝わる経路が瞬時に途絶され、速やかな鎮痛効果がもたらされます。これは薬理学的な機序として完全に確立されており、痛み止め薬が血流に乗って全身を巡り、中枢神経系に作用するのを待つ必要がないため、内服薬では得られない即効性を実現します。

2.臨床試験における初期の痛みの変化と体感

具体的な臨床研究で「何分後に何%の患者が改善したか」という詳細な時系列データが公表されているものは限定的ですが、多くの臨床報告や専門的なレビュー論文では、後頭神経ブロックの治療効果として「直後からの痛みの軽減」や「速やかな鎮痛」が期待される旨が強調されています。

これは、ブロック注射が適切かつ正確に行われれば、痛みを伝える神経の機能がすぐに抑制されるためです。患者の多くは、施術直後から頭部の緊張や鋭い痛みが和らぐという劇的な変化を体感し、この初期のポジティブな変化が、治療への信頼感を高める要因ともなっています。

なぜブロック注射が高い有効性を発揮するのか?

1.痛みの発生源へのピンポイントな直接アプローチ

ブロック注射は、後頭部の表面近くを通る大後頭神経や小後頭神経など、痛みの伝達経路となっている特定の神経の周囲に、正確に薬液を注入します。このアプローチの最大の利点は、内服薬のように全身を巡ってから作用するのではなく、まさに痛みの根源(痛みの発生源)を狙いを定めて治療できる点にあります。これにより、痛みの信号が脳に伝わるのを最も効果的にブロックし、内服薬を遥かに凌ぐ高い鎮痛効果が期待できます。

2.局所麻酔薬とステロイドによる強力な鎮痛・抗炎症作用

注射される薬液には、即効性のある局所麻酔薬に加えて、しばしばステロイド(炎症を抑える強力な薬)が併用されます。局所麻酔薬は、前述の通り神経の活動を一時的に麻痺させ、痛みの感覚を強力に遮断します。

ステロイドは、神経周囲の炎症や浮腫(腫れ)を強力に抑えることで、炎症による神経の圧迫や刺激を軽減します。この抗炎症作用は、痛みの長期的な改善に深く寄与し、炎症が痛みの主要な原因となっている場合には特に有効です。

3.診断的意義と治療効果の確実な裏付け

ブロック注射は、単に痛みを和らげるだけでなく、診断的な役割も果たします。注射後に痛みが著しく軽減すれば、「その神経が後頭神経痛の真の原因であった」ことが強く裏付けられます。

このように、治療行為そのものが診断の確実性を高めるため、医師は自信を持って治療を継続でき、患者も効果を実感しやすくなります。診断と治療が密接に一体化していることが、この療法の信頼性を高めています。

4. 神経周囲の環境改善を通じた回復促進

後頭神経痛の原因の一つとして、神経周囲の炎症や、周辺の筋肉の緊張による神経への圧迫が挙げられます。ブロック注射によってステロイドの作用で炎症が治まり、神経への圧迫が軽減されると、その領域の血流が改善します。

血流の改善は、神経が必要とする酸素や栄養の供給を促し、神経自体の回復をサポートする効果も期待できます。これは、単なる症状の抑制に留まらず、神経の健康を取り戻す方向へと導く治療効果です。

 

有効率の具体的なデータ


後頭神経ブロックの有効率に関する情報は、
Mindsガイドラインライブラリ「第1章 神経ブロックに関するクリニカル・クエスチョン」
に基づいています。

この専門的な報告によれば、後頭神経ブロックの1ヶ月間の短期効果は78%であり、効果が見られた患者は平均して150日間にわたって痛みの緩和が得られています。このデータは、後頭神経ブロックが後頭神経痛の患者にとって、非常に有効で持続性も期待できる第一選択肢の一つであることを裏付けています。

 

記事監修

院長 泉山 仁

・横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 院長
・日本脳神経外科学会専門医
・日本脳卒中学会専門医

平成27年 市が尾カリヨン病院 病院長
平成29年 青葉さわい病院 副院長
令和元年 横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 開業

横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科
田園都市線藤が丘駅より徒歩8分、青葉台駅より徒歩13分

診療:要予約制 診療日:月~木曜日、土曜日

 
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