実は「閃輝暗点の経験者は2,000万人いる」という話

Q.閃輝暗点の経験率は何%?

閃輝暗点は未解明要素の多い病気の一つです。
以前「閃輝暗点が脳梗塞である確率」を調べた際は情報がなく、当院がデータを集め公開しました。
それがこちらの記事です。
閃輝暗点が脳梗塞である確率

今回は「閃輝暗点の経験率」ですが、やはりこちらのデータも見つかりませんでした。
よって、当院が調べて数値を出します。

 

200名にアンケートした結果

まずは年齢・性別不問で、100名の方にアンケートを実施しました。
回答してくれた方々は20代~60代の男女でした。
尚、この100人は無作為抽出です。

Q.閃輝暗点の経験はありますか?

  • はい/16名
  • いいえ/84名

→100名中16名が閃輝暗点の経験があると回答した


この条件では、10代未満の方と70代以上の方が抜けております。

当院が持っている閃輝暗点の性別・年齢別分布を参考にしますと、
抜けている年齢層は閃輝暗点の発症率が低かったです。
閃輝暗点の性別・年齢別データ

よって、これはマイナス材料です。

 

それとは別にプラス材料もあります。
それは、その病気が閃輝暗点だと理解しておらず、経験がないと回答する方がおられる事です。
このプラス材料とマイナス材料で、相殺しあう程度かと考えられます。

ちなみに、このアンケートと別に再度100名に伺いましたが、その時は14人でした。
1回目の結果とほぼ同じですから、この数の信憑性が高まりました。

つまり、閃輝暗点の経験者は約15%と言えます。

医師の認識では稀な病気?

閃輝暗点の経験者は約15%
これは一般的に医師が考える数より相当多いです。

まず閃輝暗点は偏頭痛の人に起こると認識されています。
日本人で偏頭痛持ちの方は8.4%です。

偏頭痛の方のうち前兆症状がある方は3割程度で、そのうち9割が視覚症状です。
この視覚症状が閃輝暗点だと捉えられています。

計算しますと、8.4%×30%×90%=2.26%となります。
これが多くの医師が認識する閃輝暗点経験者の割合です。

つまり、閃輝暗点の経験者は2%しかいないと思われています。
ですが、実は15%もいるという話なのです。

現在の日本人の人口は約1億2,500万です。
そのうち2,000万人近くが、閃輝暗点を経験している
これが15%という数値です。


そんなにいるのか?と疑問に思った方はSNSで「閃輝暗点」で調べてみてください。
一例としてtwitterで調べてみてましょう。

SNSで見る閃輝暗点の実態

連日、数十人の方が閃輝暗点が起こったとツイートされています。
日常的にこのレベルの頻度で、どこかの誰かが発症しているのです。

決して稀な病気ではない事がおわかりいただけるでしょう。

Q.なぜ閃輝暗点が沢山の人に起こる?

A.偏頭痛でない方にも起こるから

閃輝暗点は偏頭痛の方の一部に起こる病気と認識されています。
これを、偏頭痛の方だけに起こる症状と誤解している医師が多数おります。
ですが、実際には偏頭痛の方に限らず起こります。


当院ではかなりの数を閃輝暗点を診ております。
直近3年で300名以上です。
普通のクリニックとは比にならない程多いです。

閃輝暗点の情報発信が多い為、必然的に患者様が集まります。
そして、偏頭痛ではない患者様がとても多いのです。

これにはふるいに掛けられている要素もあります。
閃輝暗点は、その後に頭痛が起こらない場合が危険ですから
受診される方の多くは頭痛がないパターンです。

勿論、偏頭痛起因の閃輝暗点の方も来られます。
頻度が増えたなど、時間が長くなったなどの理由で来られます。

ただ、頭痛がないパターンの方が圧倒的に多いです。
そして、それらの方々に偏頭痛の可能性がないか確認していくと、偏頭痛ではないとわかるケースが多々あります。
当院を受診される方の8割以上は偏頭痛ではないです。
非偏頭痛性の閃輝暗点が存在する事は確実です。

さらに、当院なりの見解をお伝えしますと、閃輝暗点は身体への負荷でも発生すると考えています。

疲れた時に出る症状

これは多種多様ですよね。例えば、倦怠感・肩こり・筋肉痛・食欲不振・寝れない・集中できないなど。
そして、その中には指先が震える、まぶたが痙攣する、手先足先がだるいなどの症状もあります。

このような症状の一つに閃輝暗点が存在する
という考えです。
いわゆる疲労性閃輝暗点です。その根拠は下記の通りです。

  1.  閃輝暗点が頻発するようになった前後に、極度のストレスや疲労感を感じる状況であるケースが少なくない

  2. 疲労が閃輝暗点に直結する方がいる 例.疲れると出やすい、極度の緊張で出るなど

  3. 疲労起因が存在するなら、閃輝暗点の経験者が多い事への合理的な説明が付く

ただ、そうは言いましても、頭痛のない閃輝暗点が脳の病気であるパターンは存在します。
ですので、一度はMRIやCTで検査をするべきである事に変わりはないです。

概ね1~2%の方は、脳の病気が原因です。
当院では220名中4名から脳疾患が見つかっています。
閃輝暗点が脳梗塞である確率

※閃輝暗点とは関係のない脳疾患が見つかったケースは、数に含んでいません。

貴方だけではない閃輝暗点

初めて起こる方や、この病気が閃輝暗点であると知らない方、多数おられます。

やはり視覚的に症状が出るため、酷く不安になります。
「頭がおかしくなったのか?」とパニックになる方もおられます。

そのような方々に、是非とも当院の記事をお読みいただきたいです。
実は閃輝暗点になる方は沢山おられるのだとお伝えしたいです。


最後に閃輝暗点が出た場合のその後の対応をご紹介しておきます。

こちらをご参照ください。
閃輝暗点の対処法 その後は?/閃輝暗点が起こったら

 

記事監修

院長 泉山 仁

・横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 院長
・日本脳神経外科学会専門医
・日本脳卒中学会専門医

平成27年 市が尾カリヨン病院 病院長
平成29年 青葉さわい病院 副院長
令和元年 横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 開業

横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科
田園都市線藤が丘駅より徒歩8分、青葉台駅より徒歩13分

診療:要予約制 診療日:月~木曜日、土曜日

 
電話番号:045-482-3800

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