-
くも膜下出血
くも膜下出血は脳の血管が破裂し、くも膜の下に血が溜まる病気です。
脳には酸素と栄養素を届ける太い血管が沢山あります。この血管が破れて出血を起こすと、脳の表面を覆うくも膜の下に血液が流れ込みます。くも膜下出血は命の危険に繋がる発作です。症状が現れたらすぐに救急受診してください。なお、前兆症状がいったん治まり、その後くも膜下出血を起こすこともあります。
脳梗塞
脳梗塞とは脳の血管が詰まり、脳細胞が死滅してしまう状態です。
死滅した脳細胞は回復しないため、その部分が担っていた感覚や機能は失われます。詰まった部分の事は血栓と呼びます。
最近では前兆症状の時点や、脳梗塞発作を起こして3時間以内であれば、脳へのダメージを最小限に抑える治療が可能です。ただし、最も有効なのは発症する前の予防です。リスクがある場合は早めに生活習慣改善を行うことが大切です。
脳出血
脳出血とは脳の血管が破れて、出血を起こしている状態です。
出血を起こした場所や程度によって症状や残る可能性がある後遺症は異なります。ほとんどは高血圧性脳出血です。高血圧や動脈硬化による血管の変化の関与があって発症するとされています。興奮、過労、入浴、排便時のいきみなどをきっかけに発症することがあります。適切な治療を受けても、半身麻痺や言語障害などが残りやすい傾向があります。
閃輝暗点
閃輝暗点(閃輝性暗点)とは脳の血流障害で起こる視覚異常です。
閃輝暗点とは、視界に光の輪のようなギラギラが出たり、尖った波模様のようなギザギザが出たりする病気です。物が歪んで見えたり、文字が読めなくなったりもします。一時的に視野障害が発生し、突然視界がおかしくなります。脳疾患が原因のケースは一部ですが、脳の病気で調べる方が多いので、この項目に入れています。
副鼻腔炎(頭痛あり)
副鼻腔炎は鼻の周りにある副鼻腔に炎症が起こる病気です。
副鼻腔は顔の左右にそれぞれ4個ずつ、合計8個あります。その中には空気が入っていて、小さな穴で鼻腔(鼻の内部)とつながっています。副鼻腔の表面には薄い粘膜があり、粘液を出しています。頭痛症状が出るため脳の病気と思われがちですが、大半は鼻が原因です。
副鼻腔炎の主な原因は次の3つです。
- 風邪やアレルギー性鼻炎など鼻の炎症が原因で、副鼻腔の粘膜が腫れ分泌物が排泄できなくなる。
- 虫歯や歯周病などの歯の病気によって、副鼻腔に細菌が感染する。
- 鼻の形や構造の異常によって、副鼻腔の自然口が狭くなっている。
椎骨動脈解離
椎骨動脈解離とは首を通る血管の膜が裂けたり、剥がれてしまう病気です。
血管が裂けることにより偽腔と呼ばれる、本来の血液の通り道とは違った道ができます。
偽腔は重大脳疾患を起こす原因となります。
椎骨動脈解離でリスクが高まる重大脳疾患- 脳梗塞=血管の詰まり
- くも膜下出血=血管の破裂
- 動脈瘤=血管のこぶ
帯状疱疹(頭部)
帯状疱疹は発疹や水膨れが起こる病気です。
原因は水痘・帯状疱疹ウイルスによるもので、免疫力が低下した際に発症しやすい傾向があります。主な症状は違和感、かゆみ、しびれ、痛みです。痛みはピリピリする、ジンジンする、ズキズキするといった訴えが多く見られます。また、焼けるような感じと仰る方もいます。
殆どの帯状疱疹は特定箇所だけにできます。末梢神経に沿って帯状にできることが特徴です。帯状に発生しているものは複数あっても一箇所扱いです。二箇所以上に出来るケースは稀です。
もやもや病
もやもや病の特徴
- 脳の血管が細く、脳の血流が不足する病気
- 虚血型と出血型に分類される
- 指定難病である
- 発症率は10万人に3~10人
- 発症のピークは20歳代~30歳代
- アジア人に多く、特に日本人や韓国人に多い
- 原因は先天的な血管異常と考えられている
脳腫瘍
脳腫瘍は頭蓋骨の内側にできる腫瘍です。腫瘍とは体内にできる細胞の塊、増殖する組織です。脳腫瘍は原発性と転移性に分類されます。脳から発生したものは原発性脳腫瘍、他の部位から癌が脳に転移してきたものを転移性脳腫瘍と呼びます。
原発性脳腫瘍は良性と悪性に分かれます。良性のものは手術により予後は良好に推移するケースが多く、再発率も低いのが特徴です。悪性脳腫瘍はいわゆる脳の癌(がん)ですが、脳の癌という呼び方はしません。癌とは上皮細胞から発生した悪性の腫瘍です。簡単に言うと空気に触れる臓器を覆う皮膚に発生する事が定義なのです。ですから、空気に触れない組織である脳の場合は癌とは呼ばないのです。
脳挫傷
脳挫傷とは、頭部に強い衝撃を受けて脳自体が損傷した状態です。脳が頭蓋骨の内側にぶつかったり、揺すられて、脳組織が損傷を受けます。脳挫傷は衝撃が加わった側の脳でなく、反対側の脳に発生する事もあります。後遺症が出たり、死亡するケースもありますが、そのリスクは重症度次第です。例えば、大きな交通事故で急性硬膜下血腫と併発したりすると、命の危険がある可能性が高いです。硬膜下血腫(急性・慢性)
硬膜下血腫は脳の脊髄(脳に繋がる神経)を包む硬い膜と、脳の間に出血が起こり血液が溜まります。この状態を血腫と言います。主に急性硬膜下血腫と慢性硬膜下血腫の二種類に分別されます。急性硬膜下血腫はこれが急速に起こった場合を指します。慢性硬膜下血腫は後から発生するもので、受傷後2週間~3か月後に自覚症状となって現れます。
記事監修

院長 泉山 仁
・横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 院長
・日本脳神経外科学会専門医
・日本脳卒中学会専門医
平成27年 市が尾カリヨン病院 病院長
平成29年 青葉さわい病院 副院長
令和元年 横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 開業
田園都市線藤が丘駅より徒歩8分、青葉台駅より徒歩13分
診療:要予約制 診療日:月~木曜日、土曜日