当院で見つかる椎骨動脈解離は、多くが脳梗塞一歩手前の段階です。つまり、大半の方は治療が間に合うのですが、中には既に脳梗塞になっている方が来られます。
今回はその実例をご紹介します。
- 50代男性
- 右後頭部痛
- めまい感
- 歩行障害
後頭部痛で脳梗塞症状が出ており、椎骨動脈解離、脳梗塞の両方が考えられました。これはそうである可能性が高いと思い、MRI検査に回っていただきましたが、やはりそうでした。
小脳に脳梗塞が見つかりました。白く光る部分が脳梗塞です。
小脳は脳の後頭部にあります。痛がっていた部分と合致します。
また、椎骨動脈解離起因であるとも想像が付きました。本来は赤丸内に2本の椎骨動脈が映りますが、この方は1本しか映っていません。
もっと詳しく確認したところ、やはり出血が見られました。椎骨動脈解離です。発症直後のため灰色です。日数が経つともっと白く光ります。
早期受診にも関わらず、既に脳梗塞が起きていた事は、正直運が悪いです。ですが、早期受診のお蔭で重症化する前に発見・治療に漕ぎ付けました。これは不幸中の幸いです。
脳梗塞発見後、速やかに大きな病院への手配を行いました。患者様は県外からお越しのため、ご本人と付き添いの方に意向を尋ねました。結果、当院紹介の病院へ行くとの事で話が纏まりました。
すぐにその場で病院へ連絡を入れ、書類を作成、そのままの足で病院へ行っていただき、当日に入院となりました。このようなスムーズな移送は、連携先との関係構築があってこそです。
回復の見込みはあるでしょう。願わくば、数か月後に元気になって顔を見せにきてくれたら、、と期待しています。
基本的には「椎骨動脈解離を発見し、脳梗塞の発症リスクを抑える」が最善です。ですが、今回のように発症後の受診でも意味はあります。肝は、いかに早く発見して治療を行うかです。
重症化、特にクリニックを受診するレベルではなくなった脳梗塞の場合、後遺症リスクは飛躍的に上がります。そうなっては「遅かったね」となってしまうのです。そうなる前に発見する事に意義があります。
記事監修
院長 泉山 仁
・横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 院長
・日本脳神経外科学会専門医
・日本脳卒中学会専門医
平成27年 市が尾カリヨン病院 病院長
平成29年 青葉さわい病院 副院長
令和元年 横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 開業
横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科
田園都市線藤が丘駅より徒歩8分、青葉台駅より徒歩13分
診療:要予約制 診療日:月~木曜日、土曜日
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